2012年1月26日木曜日

2012/1/26のFunk 裏 Recommend Disc

まいど。

こないだ電車に乗って立ってたら目の前に座ってるごく素朴な身なりをした女子大生風の女の子が思い立ったようにバッグから通常の4倍くらいある巨大な一塊のおにぎりをとりだしてラップを剥いて食べはじめたのでおかずは何がはいってるんだろうと何気なく見ていたら最後まで白米だけしか入っていなかったという出来事が忘れがたい今日この頃ですがみなさまお元気でしょうか。
そういう出来事って不意打ちのように日常にひそんでますよね。
関係ないけど最近のマイブームは担々麺です。


さてジミー・キャスターさんに続いてジョニー・オーティスさん、エタ・ジェイムズさんとブラック・ミュージックの大物の訃報が続きますね。

ジョニー・オーティスさん関係ではこんなレコードがエエ感じでした。
ジョニーさんがマブダチであるR&Bサックスの大物、プレストン・ラブさんのアルバムをプロデュースした『Omaha Bar-B-Q』という最高の娯楽盤です。

Preston Love - Pot Likker

ピアノがジョニーさん、ギターは息子のシュギー・オーティスさん。
じぶん気ぃつけんとサックス燃えてまうでぇ、と言いたくなる肉汁系ジャズ・ファンク。
名著『コテコテ・デラックス』にも堂々掲載の名盤です。

エタ・ジェイムズさんは個人的に偏愛するCadetレーベルの70年作であるファンキィな『Sings Funk』からこの1曲を。

Etta James - Quick Reaction & Satisfaction

このレーベルの作品は不思議ととどれを聴いても心のスキマにフィットするんやけど何かの魔法にかかったままなんでしょうか。
今週追悼の意を込めてこのレコード買いました。合掌。


では今週のFunk 裏 Recommendの音源紹介。
サポみたいにアツいラテン・ファンクは他に無いんちゃうかいうくらいおすすめです。

Sapo - Been Had

こういうドラム・ブレイク聴くと思わず笑てまいますよね。
めちゃカッコいいんやけどなぜかオモロいという不思議な感情。
しかしこのカロリーの高さはなんでしょう。
朝起きた瞬間に焼きたての炭火焼き肉御膳喰わされるの巻、みたいな。

この曲も尻に火がついた感じでエゲつない。

Sapo - Get It On


ホーン隊のベルトーン攻撃がういういしい感じでくすぐったいですね。
ベルトーンに関しては「順番待ってる感」「やっと順番回ってきた感」を感じるとカワイく聴こえてしまう傾向にあると思うので、あえてツッコミ気味、くらいの気持ちでやった方がイカついんちゃうかなて思います。
あ、なんかサクブラっぽい。

この曲はデイヴ・リーブマンのソロが聴きどころ。

Sapo -  It's The Music   


デイヴ・リーブマンといえばエルヴィン・ジョーンズのバンドでスティーヴ・グロスマンとさんざんテナー・バトルを繰り広げたあげくグロスマンの暴力的なまでの音のデカさに敗北感感じてしばらくテナーやめてソプラノいっぽんにした、という噂を昔聞いた事がある気がするのですがたぶん幻聴かなんかでしょう。
個人的なことですが心の中ではグロスマンの事を「しろくま」、リーブマンのことを「つるぴか」とちいさな声で呼んでいます。

アルバム・ラストもこんなイケイケな感じ。

Sapo - Wishbone


この曲も色んな要素をミックスしまくった感じでハイカロリーですね。
朝起きた瞬間にぐちゃぐちゃに混ぜたあつあつのカルビ石焼ビビンバ喰わされるの巻、みたいな。

なんでジャケがカエルやねんの理由は、サポというのが「ひきがえる」の意味だそうです、スペイン語で。
あと今回のCDはサクブラ編集長にお借りしました。多謝。
自分が持ってると思いこんで長年生きてきたのに実は持ってなかったという例のアレです。
CDとか本とかワインの栓抜きとかむかし女の子にもらった手編みのマフラーとか人望とか実力とか才能とか、持ってると思ってたけど持ってなかったことをかみしめながらひとは生きていくのですね、おかあさん。

では今日はこの辺で。
また頑張ります。

2012年1月19日木曜日

2012/1/19のFunk 裏 Recommend Disc

まいど。

ジミー・キャスターさんが亡くなりましたね。
ソウル/R&Bの世界では数少ない管楽器奏者兼バンドリーダーやった人です。
サンプリング・ネタにも数多くなったせいかヒップホップ/レア・グルーヴ業界からはリスペクトですが、キング・カーティス同様、ソウル/ファンクのメインストリーム・ファンからは軽視され続けてきた存在な気がします。

もともとドゥワップ・シンガーだったのが60年頃にサックスにチェンジ。
66年に「Hey Leroy, Your Mama's Callin' You」がヒット、JBで知られるSmashレーベルからアルバムを出しています。
その後72年に「Troglodyte (Cave Man)」がビルボードの6位を記録する大ヒット。
そのシングルを含んだアルバム『It's Just Begun』をリリース。
このアルバムはレア・グルーヴ/ファンクの大クラシックですね。
ほんでそのアルバムからの最大のヒット曲。

Jimmy Castor Bunch - Troglodyte (Cave Man)


原始時代をテーマにしたコンセプチュアルなアルバムで、曲名は穴居人の意味。
チャールズ・ミンガスの『直立猿人』を思い出しますよね。


ヒップホップのサンプリング・ネタとしてあまりにも有名なのはこのタイトル・トラック。

Jimmy Castor Bunch - It's Just Begun

こんなんサックス2本くらいをフロントにしてカヴァーしたらめっちゃかっこええんちゃうかな。
デビュー・アルバムも個人的に大好きなのでご紹介。
ヒットしたタイトル・トラック。

Jimmy Castor  - Hey Leroy, Your Mama's Callin' You

最高にハッピーなカリプソR&Bてな感じですね。
「リロイ、おかんが呼んでるで」というだけの曲でなぜこんなに盛り上がれるのかフシギ。
そしてこの曲のレス・マッキャン・ヴァージョンがカッコ良過ぎ。

Les McCann - Hey Leroy, Your Mama's Callin' You

あとはこんな曲も。

Jimmy Castor - Winchester Cathedral

その後も80年代までレコード・リリースは継続、近年もライヴ活動は積極的に行っていたようで、僕のところにも以前「来日したがっている」って話はありました。
なんとも残念な話。
おまけにCD買えるようにリンク貼ろうと思ったけど人気無いのかAmazonにもほとんど在庫なくてカナシい。
『Hey Leroy』は昔国内盤が出てたけどもう廃盤、『It's Just Begun』は輸入盤さえない状況だなんて。


前書きが長くなりましたが今週のFunk 裏 Recommendの音源を紹介させてもらいます。
今週からマロ関係でボチボチいきます。

Malo - Nena

なんや動画で貼り付けてある写真がイミフですが。
ラテンなアイディアはちがうなあ。

Malo - Suavecito

当時のテレビ番組ですね。
哀愁な感じでいいんだけど国歌にしては陰気すぎるんちゃう?
歌詞がええんかな。

これも当時のライヴ音源みたい。
有名なフィルモアでの公演。

Malo - Pana


続いてセカンド・アルバムの『Dos』から、ラテンの血が通ってない我々にさえラテンの血を分泌させて沸騰させてしまいそうなエキサイティングな高速グルーヴァー。

Malo - Latin Boogaloo

こちらも超ド級の高速チャカポコ・グルーヴァー。
ラッパ隊がアクロバティックすぎて憤死。

Malo - Oye Mama


最後に最近のライヴ風景も。
ホルヘ・サンタナさんもゲスト参加して楽しげ。
いまもチカーノ・コミュニティでは大人気みたいですね。

Malo - Nena (Live at The Fox Theater)

ほな今日はこのへんで。
また頑張ります。


2012年1月12日木曜日

2012/1/12のFunk 裏 Recommend Disc

まいど。

連載とは関係ないけれど、個人的に去年ハマりまくった新人アーティストのデビュー・アルバムがやっと3月にリリースされるようなので、ちょっとだけ紹介させてください。
UK出身のシンガーソングライターで、マイケル・キワヌカ(Michael Kiwanuka)という23歳の若者です。

これは去年の4月にリリースされた最初のシングル曲。
Michael Kiwanuka - Tell Me A Tale

なんでしょう、この70年代のMotownとかChessのサウンドを想起させるようなヴィンテージな空気感。
楽曲も歌唱も抜群にいいんやけど、それを演出するサウンド・プロダクションがミラクルなくらいに素晴らしくて、iTunesで買った彼の3枚のシングルを去年はひたすらiPodでリピートしていたような気がします。

Michael Kiwanuka - I'm Getting Ready

テリー・キャリアーのフォーキー・ソウルとビル・ウィザースの詩情をあわせたような才能、とかいわれてますがすごく納得な感じ。
こんな上質な音楽が現代でも作られて、それがきちんと評価されて売れてくれて、その背景には古き良き時代の音楽へのリスペクトや深い愛情が感じられる、というのはとても健全なことやと思うし、いち音楽ファンとしても業界の片隅にいる存在としてもうれしいことやな、と思います。
捨てたもんやないなって。

Michael Kiwanuka - Home Again

英国BBCによる「2012年に活躍が期待される新人アーティスト」の第一位に選ばれたキワヌカくん。
Amazonではアルバムの予約も始まっていますが、iTunesではこれまでの3枚のシングルがすぐにゲットできますよ。


さて今週のFunk 裏 Recommend
なんか最近ファンクちがうやん、ライト・メロウ盤紹介してどないすんねん、と自分でも思ってるんですが、そんな毎週毎週ファンク紹介し続けて話がつながるワケないやんけ。と心の中で言い訳しつつもっと頑張らなあかんな、とキモに銘じている最近です。
まあ広い意味でぜんぶレア・グルーヴなんで、Rare Groove 裏 Recommendやと思っていただけたらうれしいです。

しかもジェイムズ・ヴィンセントさんのアルバム『Waiting For The Rain』からはこの曲しか動画リンクが見つからなかったのですがまあええじゃないか。

James Vincent - How Can I Thank You Enough

自分でアップすればいいんやけどね。
さすがにそんなにヒマじゃないもので。

かわりにひとつ前のアルバム『Space Traveler』('75)からのタイトル曲見つかりました。

James Vincent - Space Traveler


ちょっと雰囲気違いますよね。
天才的なストリングス&ホーンのアレンジはジャック・ニッチェさん。
フィル・スペクターの片腕として数々の名盤のアレンジも担当してる大物です。

こちらはひとつあとのアルバム『Enter In』('80)からのナンバー。

James Vincent - Come Follow Me ('80)


こちらもシーウインド・ホーンズがバックアップのほか、リズム隊もほとんどシーウインドという豪華な作品。
この辺の作品も全部CD化されているので好きな人はどうぞ

シーウインド詳しくない人のために簡単に紹介しとくと、クリード・テイラーのCTIからデビューしたハワイ出身のバンドで、フュージョンと呼ぶにはポップでおしゃれなサウンドでが人気でした。
ちょっとブラジリアンはいってたりして今でいうジャジー・ポップというか、アシッド・ジャズ的な音のはしりというか、そんな感じでクラブ・ミュージック好きな人もファンが多いバンドです。
この曲とか大ヒットしましたね。
色んなアーティストにカヴァーされまくりの名曲です。

Seawind  - He Loves You

では今日はこの辺で。
ちょっと時間が無くってあっさりですいません。
寒いのでお風呂はいってきます。
またがんばります。

2012年1月5日木曜日

2012/1/5のFunk 裏 Recommend Disc

まいど。

あっというまに正月休みが終わってしまって毎年のことながらその早さにびっくりしている今日この頃ですがみなさま明けましておめでとうございます。

昨年末にサム・リヴァースさんが亡くなったのは個人的にグッときましたね。
60年代になってから名前が売れだした人なんで、ウェイン・ショーター(1933年生まれ)とかジョー・ヘンダーソン(1937年生まれ)とかと同世代だと思われがちなんですけど、リヴァースさんは1923年生まれだからショーターよりも10歳上、ジョーヘンとは14歳も違うという実際で、ロリンズ(30年生まれ)よりもコルトレーン(26年生まれ)よりも先輩だったって知ってました?
22歳年下のトニー・ウィリアムスに推薦されて3つ年下のマイルスのバンドに入ったのが41歳のとき。
そこから果敢にもフリー・ジャズの第一線に躍り出てNYロフト・ジャズの中心的存在になっていくんやから頭が下がります。
まさに遅咲きの人生だったんですけど、スウィング〜ホンカー的なルーツ色と予測不能な偶発性、野獣がかみついてくるような凶暴性を持ったプレイはまさに独特のスタイリッシュなものでした。
敬意をこめて88年の生涯に合掌。

さて今週のFunk 裏 Recommendで紹介してるHE3・プロジェクトの音源を貼りつけようとしたんやけど、YouTubeにぜんぜんあがってなくて、きっとこれはレーベル的に全部聴かすのはNGということだろうと思うので、こちらのレーベルのサイトの試聴でがまんしてください。
もしくはこちらでダウンロードしちゃうとか。

んで貼りつける動画がないのでくやしまぎれに「Make It Sweet」の元ネタである「Tighten Up」のオススメ動画をいろいろと貼っておこうかと。

まずはサクブラ最新号でも紹介されてるJBズ・ヴァージョンから。
アルバム『Say It Live And Loud: Live In Dallas 08.26.68』に収録されてる超キレキレのやついってみよう。
James Brown Orchestra - Tighten Up
ウェイモン・リードのラッパ・ソロが最高ですよね。
MCはメイシオです。

続いて傑作コンピ『The Funky 16 Corners』に入ってる極めつけのこれ。
Billy Ball & The Upsetters - Tighten Up Tighter
なんでしょうこのいてまえ感。
笑いながら泣きたくなってくるこみあげファンキィ。

続いてラテンの名門Ticoレーベルに残されたこれ。
Al Escobar - Tighten Up
ユルさがたまらんですよね。

最近のバンドではオーストラリアのザ・バンブーズのカヴァーも話題になりました。
The Bamboos - Tighten Up

日本からは我らがオーサカ=モノレールも。
Osaka Monaurail - Tighten Up

オリジナルも貼っとかなあかんかな。
Archie Bell & The Drells - Tighten Up

という感じで今日はこの辺で。
みなさんもオススメの「Tighten Up」があったらぜひ教えてください。
ただしYMO以外でおねがいします。
ではまたがんばります。