2014年4月24日木曜日

2014/4/24のFunk 裏 Recommend

まいど。

Facebook見てるとボブ・ディランさんの来日公演に行ってきた人が感想書いてるのを良く目にしますけど、どうやら大御所にありがちな昔のヒット曲オンパレードなベスト盤的ライヴじゃなくって、最近の曲を中心にオンゴーイングな感じのステージをされてると聞いて、さすがライク・ア・ローリング・ストーンな師匠だな、と感じ入りました。

それで思い出しましたけど最近twitterに流れてきたこの動画が異常に感動的だったので貼っておきますね。



見てたら知らない間に目から汗が出てたよ。
なんだかリスペクトが感じられるのがいいですよね。
こういう「愛さずにはいられない馬鹿」を考えられるのも作れるのもまた才能だと思われ。




今週のFunk 裏 Recommend
先週からはじめました「メイシオ・パーカー・ストーリー」ですが、通常の3倍くらいの方に記事を見ていただいたようで、なんともありがたいと同時に、やっぱりメイシオさん人気はすごいなあと素直に感じた次第です。

今日は2回目。
自伝本から抜粋したいところ、書きたいこと、紹介したい音源、がバラバラなのですが、いかんせん文字数にも限りあるのでお許しください。

冒頭に抜粋したレイ・チャールズのコンサートに初めて行くシーンですが、当時は1959年かな。
たった半世紀ほど前の話ですけど、この頃はまだこういった人種差別的な行為がなされていたことは、特に平和な日本なんかに住んでいるとあんまり想像付かないですよね。

この自伝にも何度もそういったシーンが登場しますけど、メイシオ少年の住んでいたノースカロライナ州キンストンの町(東海岸側、だいぶ南の方)でも、居住区や学校が白人黒人分かれているのは当たり前で、映画館なんかも分かれており、新作映画の封切りはなぜか白人館の方が数週間早かったとか。


でもその後大学生になったメイシオさんが再び街にやってきたレイ・チャールズさんを観に行ったときには、もう人種隔離のロープは無かったそうです。

この2回目のレイ・チャールズのコンサート、思いあまったメイシオ青年は今でいう出待ちのようなことまでやっています。
ちょっと長いですが、その箇所を自伝から抜粋してみますね。

“19歳になった1963年の秋のこと。私はノースカロライナ州グリーンズボロの劇場の裏で立っていた。レイ・チャールズのコンサートのインターミッションのあいだ、自分のアイドルを一目見ようと待っていたんだ。
私は彼と彼のバンドによる驚くべき最初のセットを目撃したばかりで、きっと彼らは一息入れに裏に出てくると考えていた。彼らに会ってどうするかなんて全く頭に無かったけれど、とにかく彼らに近づきたくてたまらなかった。彼らやレイに会いたかった。
視界の隅にライターの炎をとらえたのはその時だ。誰かがタバコに火をつけたんだ。レイのバンドのアルト奏者、ハンク・クロフォードだってことはすぐに分かった。彼はレザーのジャケットとブーツを実にクールに着こなしていた。真夜中近かったが、彼はサングラスをはめたままだった。
私は暗がりの中に呆然と立ち尽くして、彼がタバコをゆっくりとくゆらせるのをただ見ていた。話しかけるべきかどうか迷いながら。何と話しかけるべきか見当もつかなかったが、とにかく私は「What'd I Say」を聴いて以来彼のサウンドとフレージングに首ったけだった。
やがて劇場のドアが開いて他のバンドメンバーたちも姿を現した。彼らは集まって話したり笑ったりしながら、時々出待ちをしている一般人と言葉を交わしたりもしていた。
レイ・チャールズその人が姿を現したのはそのときだ。私は歩いて話しかけられるくらいの距離にいたが、完全に緊張して硬直していた。何か話しかけたかったが、何を話そうが他の追っかけと同じようなくだらない話に聞こえてしまうのを恐れていた。この人物とその音楽に対する私の尊敬の念はそんなに薄っぺらいもんじゃない。私がハンク・クロフォードやデヴィッド・ニューマン、なによりレイ・チャールズと知り合う時には、同じミュージシャン仲間として、そして彼らが知っているミュージシャンとして知り合うべきだ。
その瞬間に決意したんだ。私はいつかきっと彼らにメイシオ・パーカーという名を知らしめると。One of these days you're all gonna know me。”

このいい話が自伝の序文代わりになっています。

ミスター・バンクスのことはかなり人生の師、のように考えているようで、色んなインタビューにも出てきますね。
ジェームズ・ブラウン・バンドを飛び出して作ったバンド、オール・ザ・キングズ・メンのファースト・アルバム『Doin' Their Own Thing』での追悼曲がこちら。

Maceo and All The King's Men - (I Remember) Mr. Banks

このアルバムのことは以前コラムに書きましたよ。

最近のアルバム『School's In』でもこんな美しい曲が。

Maceo Parker - Song For My Teacher

ジェームズ・バンクス先生はメイシオを教えたあと、ロイド・プライス楽団に入ったそうです。
ので60年代初頭のプライスさんのLP聴けばひょっとしたらソロくらい取ってるかもしれないけど、どんなサックスだったか聴いてみたいよね。


では今日の一枚の音源紹介。
やっぱタレンタインだね。

メイシオさんの過去の雑誌のインタヴュー読み直したら、耳コピみたいなことはほとんどやったことが無いけど、あえて言うならタレンタインだけはやった、的なことがちゃんと書いてありました。

タレンタインってあんな顔だし、元スターだし、最近はすっかり軽視されてるような気がしますけど、とんでもないスタイリスト・個性派ですからね。
ああいう人をホンカーと呼んで十把一絡げに考えるのはどうかと思う。
彼がCTIで『Sugar』を大ヒットさせたのがどれだけ意味のあることか。
サクブラ誌でも徹底的にタレンタイン特集やるべき。

メイシオみたいになりたいと考えてるサックスの人は、逆にタレンタインからやっても良いんじゃないでしょうか。
デヴィッド・ニューマンやクロフォードよりもこっちの方が近道だと思われ。

Stanley Turrentine - River's Invitation

テーマの2コーラス目くらいの大事なところで「ブリッ」とミス・トーンしてしまうのをいつも「ああ・・・」と思いながら聴いてしまうやつです。
タレンタインは最初期のハードバップ的なやつよりも、この時期くらいからのソウル・ジャズ風味の作品の方が持ち味が存分に出せてていいのです。
このアルバムはしかし面子もすげー豪華。

Stanley Turrentine - Mattie T.

このソロなんかで良く使ってる、わざと頭を呑んで裏から入るフレーズ、が非常にR&B的で、メイシオさんに受け継がれたのはこういうところなのでは、と。



どれか1枚と言われれば『Cherry』をおススメします。

以上、いっぱい書いたので疲れました。
来週はジェームズ・ブラウン・バンド入りする話をお届けする予定です。
また頑張ります。



2014年4月17日木曜日

2014/4/17のFunk 裏 Recommend

まいど。

話のマクラになにを書こうかとぼんやり考えてたら何もしない時間が30分くらい経ってました。
Blogって怖いですね。


先日のパット・マルティーノさん(ギター)の来日公演、いまだ生演奏を観たこと無いので今回こそは、と思って意気込んでいたのですが結局なんだかんだで行けずじまい。
代わりに買ってきたのが最近出た60年代のライヴ私家録音盤で、これがめっぽう良かったです。

Gene Ludwig & Pat Martino Trio

マルティーノさんの個人コレクションとして残してあったものらしいですけど、まだアメリカにはこんな録音テープがごろごろ眠っているんだろうと考えると逆にこっちは眠れなくなりますね。

オルガンのジーン・ラディッグ(ラドウィッグ?)さんとドラムのランディ・ジェリスピー(ゲリスピー?)さんとのオルガン・トリオ。
今のマルティーノさんバンドもそうですけど、この人は60年代のジャック・マクダフ師匠のバンドで享楽のルツボのような目くるめくオルガン・ソウル・ジャズを経験して以来、オルガンが手放せないカラダになったような気配がして、その辺が大好きです。

このアルバムからもエネルギーとアイディアと「ギター弾きたくてしょうがないねん感」が余りに余ってあふれ出す感じが最高です。
テンポの早い曲で前のめりになりすぎて暴走気味の早弾きでつんのめりそうになりながらも何とか辻褄を合わせてしまうところとか萌えますね。

このトリオでのメジャー録音としてはソニー・スティットさんのPrestige盤『Night Letter』でバックを任されているのがあります。

オルガンのジーン・ラディッグさんは1枚Mainstreamレーベル産のアルバムを持ってましたが、白人ながら堂々たるソウルフルなスタイルで、個人的に再評価でした。
このシングルとかも最高ですね。

Gene Ludwig Trio - The Vamp ('65)

ラディッグさんのその後を知らなかったので少しだけ調べてみたところ、つい最近まで元気に活動されたあと、2010年に亡くなられていました。
心の中でそっと手を合わせる春うらら、という感じです。






今週のFunk 裏 Recommend

今週から新シリーズでございます。
わけあってメイシオ・パーカーさんの自伝を読んでいたときに思いついた企画です。
5月末まで7回くらいにわけてお届けする予定。

サクブラ編集長いわく、ポピュラー系のサックス・プレイヤーはプロ・アマチュア問わず老若男女がこの人を好きなプレイヤーに挙げるそうです。
メイシオさんも人気者になったなあと感慨しきりなのですが、じゃあ街にメイシオ・フォロワーがあふれていてメイシオ的なフレーズが氾濫しているかと言えばそんなことない。

やっぱりメイシオのスタイルってワン・アンド・オンリーで、マネできないものなんじゃないかな、と。
個人的にも60年代に誕生したサックスのスタイリストではメイシオさんとサンボーンさんがオリジナリティという点でズバ抜けている、と常々感じておりました。
次点でグローヴァー・ワシントンJr.さんという感じ。

そういうわけで、全部英語だけどやたら読みやすい自伝をひも解いて、その強烈な個性の秘密に迫りたいと思うわけです。
必然的に初期メイシオさん関連の文献・音源が多くなって最近のはざっくりになりますけど、あの人もう60年代後半にはほとんどスタイル確立してますからね。


では今日のテキストから、レイ・チャールズの58年ニューポートをお聴きください。

Ray Charles - I Got A Woman

言わずと知れた大ヒット曲です。
途中のサックス・ソロがデヴィッド“ファットヘッド”ニューマンさん。
フレーズの最後でウニッとコブシ効かせる感じ、お分かりでしょうか。
病みつきになるとあのコブシ感がヨダレ出るほど愛しくなってきます。

続いて管楽器全員ソロを吹くこちら。

Ray Charles - Hot Rod


「なにこれ、ビバップじゃん」と思ったあなた、まさにそうです。
レイ・チャールズさんの音楽はビバップであり、ブルースであり、ゴスペルであり、R&Bであって、そういうのが違和感も説明も無く自然に渾然と混じりあっているところがグレートなところです。

それにあの父性そのものみたいな歌声ね。
悠々と流れるミシシッピの大河、みたいな陳腐な表現を思いつきます。

最初のトランペットに続くのがファットヘッドさんのテナー・ソロ。
どことなくカウント・ベイシー楽団にいたフランク・フォスターさんの影響を感じるのはオレだけでしょうか。
そしてフォスターさんが影響を受けたであろうソニー・スティットさんの姿も。
いや、もしかしたらフォスターさんを経由せずにスティットさんなのかも知れませんけど。

スティットさんはチャーリー・パーカーのイミテイターみたいに揶揄されることもあったそうですけど、なんの素晴らしいスタイリストだったと思いますね。
まあどれ聴いてもだいたいいっしょだけどな。

テナー・ソロのあと、トランペット・ソロに続いて出てくるのがハンク・クロフォードさんのバリトン・サックス・ソロ。
レイさんバンド以降はアルトに専念して、バリ作を吹くことも無かったクロフォードさんですが、ここで聴かれるようなバピッシュなアドリブも後年は聴かれなかったもの。
その後ああいうブルージーなスタイルを確立して、サンボーンさんとかメイシオさんに影響を与えた彼も偉大なスタイリストだと思います。

そのあとに出てくるアルト・サックスがレイ・チャールズさん。
まあ音程もフレーズもややぎこちないですけど、後半のうなりフレーズで魅せるところなんかさすがだなと思いますね。


あと話に出てきた「What'd I Say」はこちら。

Ray Charles - What'd I Say ('59)

ポピュラー音楽史的に重要な意味を持つ、革命的なヒット曲なんですけど、今聴いても斬新ですよね。

シンバルがビートを細分化した16ビートで刻んでるところとか、そのリズムのなかにラテンが潜んでいるところ、ロックンロール的なノリとかコール&レスポンス、そしてレイさんが弾くウーリッツアー・ピアノの音色。
いろんな謎が潜んでおります。



今週はここまで。
来週はJBバンド時代の話に進むつもりでしたけど、やっぱその前の修業時代の話をもう1週することにします。
いろいろ面白い話ありすぎるので。

ではまた来週頑張ります。




2014年4月11日金曜日

2014/4/10のFunk 裏 Recommend

まいど。

昨日はメイシオ・パーカーさんのライヴ観てきました。
楽し過ぎて吐きそうになりました。
メイシオさんは超人であり、無形文化遺産だと思います。
ライヴ・レポートは雑誌に書かせていただくのでそちらで。



<今週の訃報>
以前このコラムでも記事を書いたクルセイダーズのウェイン・ヘンダーソン(tb)さんが亡くなられましたね。
テキサス、ヒューストンで育った幼なじみ4人組が揃う姿はもう見れないのだと思うと寂しいです。

追悼のTweetなんかを良く目にしますが、あまり誰もウェインさんのトロンボーンの素晴らしさについて言及していないのも少し寂しい。
あんなにミチミチと張りつめた感がある音色で、情熱的にホットに吹込まれるトロンボーンは他に聴かないし、ソウル・ジャズやジャズ・ファンク的なセットにも最もマッチしたと思うのですが。




<今週のFunk 裏 Recommend>
デトロイトと言えば、のひとつがPファンクなんですが、Pファンクを解説するにはもう少し勉強とか聞き込みが必要なので、とりあえずホーニー・ホーンズでさらっと済ませておいた。
という感じだということを自分から告白しておきます。

Pファンクはまた別途やりたいす。
で、とりあえずデトロイト編最終回。

ではフレッドさんのムラムラ・ホーンズ。
JBズといい、この人の名前はよくバンド名の前につけられますね。
なんで?

Fred Wesley and Horny Horns - A Blow For Me, A Toot To You

考えたくないですが曲のタイトルもおそらく卑猥な意味あいだと思われ。
パーソネルとかはここを参照してください。

もう1曲。
イントロのドラム・ブレイクが頻繁にサンプリングに使われる曲です。
ヒップホップ好きは自然と懐かしくなるような。

Fred Wesley and Horny Horns - Four Play

以上でした。
YouTubeには全曲聴けるヴァージョンも上がってるようなので、おヒマな方はお試しください。




というわけで簡単ではありますが失礼しますね。
来週からの新企画の準備とかでアレがアレなもんで。
また頑張ります。





2014年4月3日木曜日

2014/4/3のFunk 裏 Recommend

まいど。

2時間くらいぶっつづけでBlog書いててようやくここまでたどり着きました(2つ前までのエントリ参照)。
やれやれ(春樹風)。

そういうわけでサクッとですが、お付き合いください。
来週からはもう少し冗談も交えて楽しくお届けできるようにします。


今週のFunk 裏 Recommend

今週はソウル/ファンク系のリスナーのみなさまはすいません、完全ジャズ系の回でした。
たまにはこういうの入れとかないと、普通のサックス&ブラス・マガジン読者が来なくなっちゃうので。

デトロイト出身のサックスの若大将、ジェームズ・カーターさんです。
まずはジョシュア・レッドマンとの例のサックス・バトル公演映像を観ていただきましょう。
背後に映るフランク・ウェスさんにも注目してくださいね。


どっちもエグいですね。
フラジオで会話するのやめてくれる?って感じですね。
(注:フラジオというのはキューという高い音を出すサックスのテクニックです)

サックス吹いてた現役のときにこれ観てたら絶望して呑んだくれてたでしょう。
まあ観てなくてもじゅうぶん呑んだくれてましたが。

皆さん的にはどっちのプレイが好みで、どっちが勝ちだと思いますか?
オレ的には、ジョシュア(と身もフタもないことを言ってしまう)。
お父さんのデューイ・レッドマンさんも大好きです。

でも応援しているのはカーターさんの方。
でもなんでこんなにエラそうなんだおまえは。

ふたりとも1969年生まれで、互いに意識する所あるんでしょうね。
もうひとつ、こんな映画でも共演しています。


最高ですね。
ロバート・アルトマンのドキュメンタリーから。
カーターがベン・ウェブスター役で、ジョシュアがレスター・ヤング役。
そりゃレスター役の方がおいしいよな。
あと、マリー・ルー・ウィリアムス役のジェリ・アレン姐さんにマジ惚れるっす。
マジ惚れるっす(リフレイン)。


おかしくなってきたので、今日のアルバムの試聴を。
1曲目です。
例のJBフレーズとかの応酬は13:00頃のマクブライドのソロから。

James Carter - Diminishing

先日久しぶりにこれ聴きながらジョギングしたら最高のBGMでした。
いわゆるジャム・バンド的なマーケットも意識したツクリだと思うのですが、まあ2009年というとだいぶそれも落ち着いた頃かと。

もう1曲、ソプラノ・サックス吹いてる曲。
これはオルガンのラリー・ヤングが『Heaven On Earth』というアルバムでやってた曲のカヴァーです。

James Carter - Heaven On Earth


ソプラノでこれだけ乱暴狼藉してる人はあまり聴いたことないですね。

確か以前来日してた時も六本木のスウィートベイジルとかでコンサートやっててあまり話題になってなかた気がします。
また懲りずに来てくださいね。
生音はメチャデカそう。



やたらと作品は多いですが、先日のワーナーミュージックさまの1,000円CDシリーズで何枚か出し直されていますので、最近のカタログもお求めやすくなっているようです。

ちなみに上の段の左から2つ目のジャケ写の左側の人物がレナード・キングさん。


以上でした。
来週からは、もっと真面目に、面白く、やりたいな。
たぶん頑張ります。


2014/3/27までのFunk 裏 Recommendまとめ

まいど。

というわけで、1ヶ月以上ずる休みしていた分の、超簡単まとめのエントリです。
もうそれはいいから先いけよ、とか言わないでくださいね。


2014/2/27のFunk 裏 Recommend
デトロイト編のジャズ・ファンク部門。
Motownのハウス・バンド、ファンク・ブラザーズの一員でもあったジョニー・グリフィスさんのアルバム紹介でした。

フレディ・レッドがBlue Noteに残したハードバップ期の名盤『The Connection』を1974年アレンジで聴かせるというちょっとした珍盤。

Johnny Griffith - Over Dose

まさに裏デトロイト、裏Motown史、的な哀愁漂うレア盤。
ジャズ・ファンク上級者向けのコレクターズ盤ですね。

かつてReturn Of Jazz FunkシリーズでCD化したものが発売中です。



2014/3/6のFunk 裏 Recommend
ファンク・ブラザーズつながりで、同じく鍵盤奏者のアール・ヴァン・ダイクさん。
実際のファンク・ブラザーズのリーダーはこのアールさんほかジェームズ・ジェマーソン(b)さんなど5人で、グリフィスさんとかはまあいわば補欠メンバーだったようですね。

Earl Van Dyke - The Flick

コラムにも書きましたが、日頃無署名のバック演奏ばかりやらされてる鬱憤が爆発したようなファンキィさ。最高です。

疑似ライヴ盤だとされてきましたが、どうやら本当のライヴ盤に拍手喝采をオーヴァーダブした盤のようです。

Motown傘下Soulレーベルから発売されてるこの一枚ですが、マイナーな作品なのでCD化も無いだろうと思ってたら素晴らしい形でCD化されて良かったです。


↑この2枚組の片方がこのアルバム。
もう一枚もいい感じですよ。

2014/3/13のFunk 裏 Recommend
ファビュラス・カウンツさんの回。
のちのカウンツ時代も含め、大好きなバンドです。

ソウル・ファンは後期の方がいいでしょうが、ジャズ・ファンク好きとしてはこのデビュー盤がいちばん萌える。

The Fabulous Counts - Jan Jan

例のグラント・グリーン・カヴァーで有名なやつ。
最近のリユニオンの様子も貼っておきますね。
ジジイたち今でもバリバリ!

The Fabulous Counts - Jan Jan Reunion (2010)

誰か来日させて〜!




2014/3/20のFunk 裏 Recommend
ザ・プロポジションズの回でした。
デトロイト'70sを騒がしたウワサの高校生バンド。
自分が高校生だった時の虫ケラぶりを思い出すとマジ赤面です。

The Propositions - Africana

これも「Soul Macossa」インスパイアな1曲ですね。



2014/3/27のFunk 裏 Recommend
同じくデトロイト'70sのローカル人気ファンク・バンド。
ジャズからファンク系まで幅広くやってる地元の重鎮ドラマー、レナード・キングさんのバンドでした。
ライマン・ウッダード好きな人はぜひこっちも。

YouTubeに試聴があがってなかったですが、こちらで全曲聴けます。
ダウンロードもこちらがお買い得。


レナード・キングさん、実はロイ・ブルックスのアルバム再発の折には非常に尽力してくれためっちゃいい人です。
だからダウンロードしてあげてくださいね。

以上、この1ヶ月の超カンタンまとめでした。
続いて今週のFunk 裏 Recomendは次のエントリで。




Independent Black Jazz Of America

まいど。

1ヶ月以上更新をサボった人が何くわぬ顔でシレっと再開させようとしているBlogにお越しいただきありがとうございます。

時間が無かった、と面倒くさかった、とモチベーションがあがらなかった、の中間に位置するダークエネルギーが「こんなBlog誰も見てないんだからやめちゃえばいいじゃん」と耳もとにささやき続けるという幻術にかかっておりました。

が、ちゃんとやってくださいね、という何件かのお声をいただき、先ほどダークエネルギーを風呂敷に包んで押し入れの天袋に片付けました。
ちゃんとマジックで「D.E.」と書いておきましたので、引っ越しの時も大丈夫ですよ。


前回の更新で「告知します」と言っていたのは、はじめて出させていただいたディスクガイド本のことでありまして、まあその本のこととか、本のおかげでたまっていた仕事とか、確定申告とか、そういうのがたいへんだったわけです。

改めて宣伝を。

70年代のアメリカの黒人ジャズ・ミュージシャンたちによる真摯なジャズ作品を網羅的に纏めたディスクガイド本『インディペンデント・ブラック・ジャズ・オブ・アメリカ』が発売中であります。
リットーミュージック社より、定価2,800円+税、という感じです。
お近くの書店、CDショップ、ECサイト様などで取扱いいただいております。



詳細はこちら
PC環境であれば何ページか立ち読みもできます。

真摯なジャズが売れなかった時代、理想と現実の狭間で苦労していた黒人ミュージシャンたちが、社会や同胞へのメッセージも織り交ぜながら創りあげた自主制作盤を中心に、615枚もの同時代の作品を取り上げ、レビューしております。
独自インタヴューなど補足的な記事も数多く掲載。

共著者であります尾川雄介氏は高円寺のレコードショップuniversoundsを主宰しながら、ライターとしても健筆をふるわれたり、CDリイシューの企画監修をされたりしております。
が、何といっても氏の黒ジャズおよび日本のジャズ・レコードのコレクションは、間違いなく世界最高峰のものだと思います。

今回の企画はStrata EastやTribeなど、ブラック・インディペンデント・ジャズの代表的なレーベルの作品をディスコグラフィー的にすべて紹介したい、という欲望から生まれたものですが、尾川氏の秘蔵のコレクションを世に開陳して欲しい、という僕の願望もすべて果たされた結果となっております。
世界で数枚しか存在が確認されていない時価数千ドルのレコードの数々、が惜しげも無くジャケット表・裏を晒されております。


まあ、本の話や尾川氏の話をしだすとキリがないですが、ともかく今回のレコード・ジャケット撮影の折が個人的な感動のピークでした。

尾川氏の自宅より持ち出された黒ジャズ盤の数々、レコード・コレクターのはしくれである僕でさえもウェブ上でしか見たことの無かった貴重盤の数々、それもすべて新品同然のコンディション。

それらが放つ濃厚すぎる黒ジャズ・スメルと野性味あふれるオーラを感じるとともに、それらチープな造りの盤に込められた執念、爪に火をともすような思いをして作ったという怨念、がひとつの場所に集められ、祈りにも似た残留思念の集合体となって、40年の時を超えてなお放つ波動を感じ、魂をわしづかみにされるような感動を覚えたのであります。

その「残留思念の集合体が放つヴァイブ」はあのジャケット撮影の折よりは多少は希薄になってはいるものの、この本の中にもしっかりと封印されております。
ページをめくるたびに陽炎のごときそれが立ちのぼるのを感じていただければこれ以上の歓びはありません。

まあ、公正な目で見てもかなりジャンル的に偏った本であり、我々の個人的な趣味趣向を綴ったかなりのマニア向けの一冊ではあります。
こういった世界も面白いですよ、と紹介するつもりで作りましたが、批判も含めたご意見ご感想いただければ幸いです。



以上、本の宣伝・告知でした。
次のエントリでFunk 裏 Recommendのおさらいやります。
天袋からD.E.がこっちを覗いてますが。