2014年7月17日木曜日

2014/7/17のFunk 裏 Recommend

まいど。

ホレス・シルヴァーさんはある程度予期していたものの、チャーリー・ヘイデンさんまで亡くなってしまうとは想像もしておらず、何かが抜け落ちた気分になって仕方ない今日この頃ですがそれにしても暑いですね。

サン・ラーさん公演@ブルーノート東京に誘われて観に行ったのですが、例の食あたり体調最悪な真っ最中でおまけにしとしと雨も降ってるし、ということでこちら側は万全ではなかったのですが、それでも衝き動かされる何かは感じました。

そして20年以上前にライヴ・アンダー・ザ・スカイでアーケストラを観た時のことを思い出しました。
あの年の出演者はアーケストラの他にマイルス・デイヴィス、デヴィッド・サンボーン、とか今では考えられないラインナップだったと記憶しています。

楽屋の方でマイルスがママチャリに乗って移動していた、という意味不明の怪情報が飛び交って、ほんとに舞台裏の方を観に行ったことを覚えています。



<今週のFunk 裏 Recommend>

さすがに今週もスティーヴィー・カヴァーで押すのは無理だったっす。
ということでこちらのファンク・バンド。
やっぱりゴーゴー初期的なサウンドを持ったバンド、と考えていいんですよね?

ビートルズをファンク・カヴァーしたドス黒い奴がこちらです。

Black Heat - Drive My Car

いいですね〜。
こういうファンクなビートルズ・カヴァーばかりでコンピ作りたい。
サックス・ソロがダニー・レイさん。

続いてイントロのブレイクビーツが有名サンプリング・ソースなこちら。

Black Heat - Zimba Ku


曲自体は大したこと無くてもこういうブレイクひとつで有名曲になるっちゅうのが変なところ。

個人的にはこういうストレートで骨太なファンクの方が推薦すべきだと思われ。
ヴォーカルもいい感じです。

Black Heat - Questions & Conclusions


ブレッカー兄弟とか入ってるのはまた別の曲です。
ソロなどは取ってないのであしからず。

サックス・ソロと言えばこちら。

Black Heat - The Jungle (from Black Heat, 1972)

セルフ・タイトルのデビュー・アルバムの冒頭の曲。
Jungle Boogieを先取ってる感じですね。
後半に出てくるデヴィッド・ニューマンのテナーがいわずもがな男前。
こぶしの利かせ方で勃つよ。

続いて74年のセカンドから。

Black Heat - No Time To Burn (from No Time To Burn, 1974)


チャート46位と唯一小ヒットしたファンク曲です。
ちなみにダニー・レイ・トンプソンが参加するのはこのアルバムから。

この3枚とも1,000円シリーズというのは実にウレシいですね。



ではまた来週それなりに頑張ります。





2014年7月12日土曜日

2014/7/10のFunk 裏 Recommend

まいど。

先週の食あたりが異様に長引いていつまでもしくしくと腹が痛いのでこれは食あたりじゃなくてもっとヤバい病気か何かなのではとビクビクしながらついに病院に行ってみたのですが、やっぱり食あたりですねということで処方された薬を飲んでたらたちまち回復しました。
色々とご心配おかけしてすいません。

しかしながらこの1週間以上、おかゆ/うどん/バナナ/りんご、というおなかに優しい食事のルーティンだったので、すっかり油っこいものを食べるのが怖くなりましたね。
なか卯に行って「はいからうどん」を頼むときに、天かす抜きで、というのが常識になっていました。
あんなに天かす好きだったのに。

あ、先週の金曜日、体調最悪なのをおして観に行ったサン・ラ・アーケストラは最高でしたよ。
綿花畑のブルースから宇宙の神秘までつながっているような空間的時間的超越と、黒人的な胡散臭さが健在でした。
アルト・サックスで金切り音を立てながら客席を徘徊するマーシャル・アレンさんのおツユが顔にかかりました。





<今週のFunk  Recommend>

今週はロニー・ロウズさん。
兄はフルートのヒューバート・ロウズさん、妹はヴォーカルのデブラ・ロウズさんというテキサスの音楽一家。
年齢的にはヒューバートさんやクルセーダーズの4人より一回りくらい若いですね。

では1曲目。
あー、これね、って感じ。

Ronnie Laws - Always There

コラムにも書きましたが、ロニーさんのサックスは非常にスムース・ジャズ的。
コンセプトから違うって感じがします。
何にせよそれを始めた人、ってのはオリジナルでエラいと思う。


Ronnie Laws - Momma


この曲のロニーさんはいちばん燃えてる感がありますね。
バック・コーラスはアットホーム・プロダクションズ所属のサイド・エフェクト。

もう1曲。
例のスティーヴィー・カヴァー。
こういう諧謔的な曲調たまに繰り出しますよねこの人。

Ronnie Laws - Tell Me Something Good



原曲のルーファス&チャカ・カーンを歌ったチャカさんとスティーヴィーさんの共演映像はどうですか。

Stevie Wonder & Chaka Carn - Tell Me Something Good


むかし成田空港の乗客出口で知り合いが出てくるの待ってるときに車椅子に乗ったチャカ・カーンが突然現れて下から舐めるようにギロッと睨まれたことあります。



ロニーさんのBlue Note作品は全部1,000円になってますね。

というわけで、途中まで書いておいて、更新日の翌日夜まで「公開」にしていなかったのをてっきり忘れていた今日のBlogでした。
来週もよろしくお願いします。



2014年7月3日木曜日

2014/7/3のFunk 裏 Recommend

まいど。

別に落ちてるもの食べたわけでもトイレ行って手を洗わなかったわけでもないのですがエラい食あたりにあいまして、大いに下痢をするとともに肛門がすり切れそうに痛く、河原にゴロゴロ転がってるみたいな変な形をした石が腹に詰まってるような疼痛と不快感で食欲も無く、さらにピークには発熱まであって寒くてうんうん唸りながら寝ておりましたが皆様はお元気だったでしょうか。

そんなわけでまだ100%回復しきっていない現状ですので、何卒お手柔らかにお願いいたします。
便所の紙も柔らかな奴で何卒お願いいたします。



<今週のFunk 裏 Recommend>

まさかの3週続いてのスティーヴィー・カヴァー推しでイカせていただきました。
さっそく1曲目からどうぞ。

Gene Harris - As

いいですね〜。
思わずリピート・ボタン押したくなる心地よさですね。
助手席に座る彼女もウットリするに違いないですよ。

ヴォーカル担当はラルフ・ビーカムという人。
詳細不明です。
この曲だけヴァーダイン・ホワイトがベース弾いてます。

では次の曲。

Gene Harris - If You Can't Find Love Let Love Find You


もし君が愛を見つけられなかったとしたら、愛の方から君を探しにこさせれば良いじゃん、というタイトル。
やっぱり人生能天気な人の勝ちですね。
この曲のヴォーカルはプロデューサーのジェリー・ピータースさん。
ヘタではないけど、個性も無いという感じです。

そしてドナルド・バードをフィーチャーしたこちら。

Gene Harris - A Minor

これでキーがA Minorじゃなかったら詐欺みたいな曲ですね。
バードさんはすでにBlue Note最終作をリリースしたあとでしたが、まだ契約はギリギリ残ってた感じでしょうか。
やっぱりマイゼル期よりもやや元気な感じがします。

ラストのバラードも貼っておきます。
冬の海岸のカフェで聴きたいこちら。

Gene Harris - Cristo Redentor Part 1 & 2

メロが素晴らしく、忘れがたい印象を残します。
バードのリリカルで、「晩年感」のある吹奏も胸に沁みる。

この時期のハリスさんは何というか、CBS/Columbiaのラムゼイ・ルイスに対抗してBlue Noteからはハリス、という感じだったんでしょうね。
たぶん『Sun Goddess』で大ヒットを飛ばしたラムゼイ氏のように行きたかったんでしょう。
このアルバム『Tone Tantrum』の前の作品にもEW&F組、スカイハイ組がこぞって参加しております。
いずれも悪くないアルバム揃いです。
が、やはりラムゼイ氏の濃厚な存在感には到底かなっていない気がしますが。




以上です。
みなさまも食あたりにはじゅうぶんご注意ください。
また来週頑張ります。






2014年6月26日木曜日

2014/6/26のFunk 裏 Recommend

まいど。

2014年が半分終わろうとしておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか。
オレは今年こんなことをやってこんな風にDevelopするぞ、と思ってたことのひとつたりとも始めてさえいないことに愕然とするばかりですが、これもう毎年のルーティンなので慣れてきましたね。

成功する人・しない人の条件、みたいなやつを眺めていてもいかに自分が成功しない人の条件を満たしているかを確認して安心するようになりました。
存外な成功する必要なんてないんだ。

以上、今日は時間が無いのでササッと行きます。
あと、サッカー日本代表のみなさまはお疲れさまでした。




<今週のFunk 裏 Recommend>

やっぱスティーヴィーは偉大だなあ。
ということでカヴァーつながりの回でした。
では早速こちらから。

Joe Farrell - Too High

こういうカヴァーをサックスでやるときって、いかにテーマメロディをダサくなく吹くか、みたいな勝負だと思うんですが、ファレスさんはそのへん実にソツない感じですね。

1曲目のファンクもカッコいい。

Joe Farrell - Penny Arcade

こちらはギターのジョー・ベックさんの曲。
ベックさんこのアルバムでもジャジーにロッキンにブルージーにと表情豊かにギター弾きまくってます。
でも考えればベックさんもまた器用貧乏系の人ですよね。

もう1曲、ラテン・ジャムなこちら。


本気と書いてマジと読むハンコックのピアノ・ソロに殺されそうになります。

最後にジョー・ファレルさん78年の『Night Dancing』から、「Another Star」のカヴァーをお聞きください。
関係ないけど「ダンシング」って「団しん也」と似てますね。


「Another Star」はほんと名曲ですね。
この曲のカヴァーばかり集めたMixtapeとかだれか作って欲しい。


そそくさとすいませんが今日はこのへんで。
また来週頑張ります。






2014年6月19日木曜日

2014/6/19のFunk 裏 Recommend

まいど。

調子が悪いと言っていたMacBookProのトラックパッド(タッチパッド)ですがさらに容態が悪化し、クリックすると「ペコ」と音がするようになりました。
ダブルクリックの時は「ペコペコ」と音がします。
詫びることばかりの我が人生を代弁してくれているかのようですが、いかんせん人前で動かす時もペコペコ音がして恥ずかしいです。

接触も悪くなっているようで、コピペ(クリック+範囲指定)とかするときは力を入れて「ベコーッ」と押し込まないといけません。
最悪なのがMacBookでDVD鑑賞するときの早送り/巻き戻しで、これトラックパッドを押しっぱなしにしないといけないんですけど、指にチカラを込めて鬼の形相で「ベコーッ」とやっております(キーボード・ショートカットがあるのは知ってますが、なぜか片手が塞がっている状況が多いです)。

言っておきますがMacBookの裏ふたを開けてトラックパッドのネジを調節するというのはもう2回くらいやりました。
交換するほか無いのでしょうか。



以上、Yahoo知恵袋風に愚痴ってみました。




<今週のFunk 裏 Recommend>

今週のに行く前に当初予定していたエタ・ジェイムズさんのこれを貼っておきます。
怪力過ぎる歌ヂカラでねじ伏せられるような衝撃。

Etta James - Sings Funk (Cadet, '69)

フル・アルバムとか書いてますが、貼るのに躊躇するのでフル・アルバムYouTubeにUPするのはやめてくださいね。

この盤を含むChess産のR&B、ブルースなどが50タイトル全部1,000円。
世界初CD化タイトルも含む、ということでレコード会社さんと監修者さんはエラい。
詳細と購入はこちら。



では今週の。
恥ずかしいほどの大ネタ紹介の巻でした。
以前同僚だったN君が8千円くらいでこのレイ・バレットLP買ってたのを思い出した。
しかし何でもっと早く日本盤化されなかったんだろう。

ともあれ、大ネタのこちらからまずはどうぞ。

Ray Barretto - Pastime Paradise

隅から隅まで素晴らしく、隅から隅まで色んな楽曲にサンプリングされております。
アレンジはスパイロ・ジャイラのジェレミー・ウォールさん。
レイ・バレットはじめ、ミュージシャン全ての演奏がキラキラと輝くようなんですが、何より際立つのはスティーヴィー・ワンダーの天才性かと。

その他の曲。
アルバム冒頭のサルサ・フュージョン曲。

Ray Barretto - La Cuna

何の変哲もないけどそれが素晴らしい。
続いてシンセの音色がチルなこちら。

Ray Barretto - Mambotango

このジョー・ファレルさんはめっちゃガトー・バルビエリ的。
で、つづくこの曲ではさらにガトー化が進みます。
制作側も完全にガトー的なラテン・エキゾティシズム意識してると思われ。

Ray Barretto - The Old Castle

昔の日本盤LPの曲邦題が「古城」でした。
そのままやんけ。


レイ・バレットさんですが、他にCTIの前のAtlantic時代の2作がワーナーさまの1,000円シリーズで発売されております。
フュージョンとラテンがいい塩梅で混じりあっておるそれら2枚もかなり良いです。

Ray Barretto - Can You Feel It (Let It Groove You) (from Can You Feel It, 1978)

ヴォーカルはシシー・ヒューストンさん。
最高だね。




本日は以上でした。
また来週頑張ります。









2014年6月12日木曜日

2014/6/12のFunk 裏 Recommend

まいど。

先日の大雨に帰り道で遭遇し、自転車を止めていた途中駅で2時間ほど雨宿りしたあと結局止む気配もないので自転車をそのままにして電車で帰ったら、翌日きれいさっぱりパクられていた今日この頃ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか。
たぶん自転車パクられ回数生涯通算で5回は下らないと思います。

怒りに任せて関係ないこと書きますがiPhoneのバッテリーの無くなる早さといったら、あれはもはや厄災レベルの不便さじゃないですかね?
出先で充電すること無く帰り道までもつなんて普通の使い方してたら到底無理だと思われ。
充電が無くならないようにビクビクしながら携帯使うって何事?まったく便利じゃない本末顛倒。
「もっとつながる」とかどうでもいいので「もっともつ」ようにぜひお願いしたいです。



以上、ほんとはそんなにキレてないですよ。
いちばんのストレスは動作が激重、トラックパッドが死亡寸前、な僕ちんの壊れかけのレディオならぬ壊れかけのMacBookProです。





<今週のFunk 裏 Recommend>

今週はボ・ディドリーさんの回でした。
みんな名前は知っててもちゃんと聴いたことないNo.1じゃないでしょうか。
僕も昔はスルーでしたけど、オッサン度が深まるにつれこういうアクが強いのもイケるクチになってきました。
ロックンロールの開祖とか言われてますがこの人自体は別にムキだしでロックなわけじゃなく、極めて天然な黒人音楽芸人体質だと思います。

ではエド・サリヴァンをぶち切れさせた1955年のTV出演から。



カッコイー!
これが大ヒットしたデビュー曲の「Bo Diddley」で、手拍子になっているのがトレードマークとなったボ・ディドリー・ビートです。
「なんだ普通のビートじゃん」と思うかも知れませんけど、ブルースとラテンをこういう風にミックスしてダンス・ミュージックにしてしまうのって当時では相当斬新だったのだろうと思われます。

後ろでマラカス振ってるのが長年の相棒だったジェローム・グリーン。
オレのバンドにマラカスが入ってるのは、あいつが馬鹿でマラカスくらいしかできないからやらせてるだけだ、とはボ氏の弁。
何その胸キュン・フレーズ。

ミーターズのアート・ネヴィルがミーターズになる直前にこの曲をカヴァーしてるので、それも貼っておきます。
ボ氏とニューオーリンズの相愛関係が興味深いです。

Art Neville - Bo Diddley (Sansu 45, 1968)

ちなみにボ氏はニューオーリンズじゃなくてミシシッピー生まれ、少年期にシカゴに移住、その後ワシントンDCへ、さらにその後はニューメキシコ、とかあまり土地にこだわらない人。
DC時代はマーヴィン・ゲイが舎弟的存在だったみたいですよ。

ボ氏はデビュー作でのブレイクのあと、60年代前半まではこの路線でChessから作品を量産。
60年代の作品は確かにロックンロール的な躍動に満ちてますね。

60年代中盤にはやや停滞期もありましたが、70年代近くになってブラック・ファンク路線で巻き返しをはかります。
ファンク路線一発目1970年の『Black Gladiator』というアルバムも1,000円CDになってますが、ガレージ・サイケ・ファンク的なサウンドで最高です。
個人的にはこれがいちばん好きかも。

Bo Diddley - Elephant Man (from Black Gladiator, 1970)

この狂ったオルガンとギター!

では今日のアルバムから1曲目。

Bo Diddley - Bite You


ブラス・ファンク路線を狙ったNY録音の箱ものセッションなんですけど、借りてきたネコみたいにならずにボ氏らしさやアクの強さが出まくっているのが最高です。
ギター・ソロ、鋭いトロンボーン・ソロも良い。

続いてイントロのブレイクが有名サンプリング・ソースになってるこちら。

Bo Diddley - Hit Or Miss

ウィリス・ジャクソンさんのクサいテナーがボ氏と相性バッチリで惚れなおすよウィリスさん。
他にもホーン・ソロが満載で、ジャズ・ファンクとしても聴ける傑作です。


いちばん右の廉価盤BOXは初期アルバムとシングルが纏められたお買い得盤でオススメでございます。
しかしAmazonで日本盤なのにジャケットも載っていないという残念さ。

また来週頑張ります。









2014年6月5日木曜日

2014/6/5のFunk 裏 Recommend

まいど。

カップヌードルのトムヤムクン味食べました?
個人的にタイ料理にそんなに魅力を感じないのでまったく期待してなかったんですけど、どえらいウマかったです。
食べ終えたその足でセブンに走って在庫用に3個買い占めました。

関係ないですけどガリガリ君のコーヒー味のとキウイ味のはいまいちでした。
今日の無駄話以上。



<今週のFunk 裏 Recommend>

今週から新企画です。
このコラムの企画はサクブラ編集部の指示とかでやってるのじゃなくて、最初から最後まで自分で考えてやってます。
安易過ぎて恥ずかしい新企画ですいませんが、マイナー過ぎるのよりこういう方がいいかな、と思って。
しかし1,000円CDもタイトル出過ぎてて把握できませんね。

そういうわけで先週のメイシオ『Roots Revisited』に参加していたドン・プーレンさんのレア・グルーヴィなアルバム紹介です。

プーレンさんの作品を全部聴いたわけじゃありませんが、ほとんどがメインストリーム的なジャズ作品かさもなくばフリー・ジャズか、と思ってたんですけど、ずいぶん前にこのLPを600円くらいで見つけたときには意外でしたね。

Atlanticはアーティストにこういうクロスオーヴァー路線でやらせるパターンが多い、というか「こういうプロデューサーつけてこういう内容の作品じゃないと出さないよ、おめぇがやりたがってるジャズじゃあ誰も買わんし」みたいな約束で契約してるケースが多いのだろうと想像します。
まあメジャー会社はどこもそうといえばそうですが、Atlanticは特にその傾向強い気が。

なのでこの作品もプーレンさんは割り切ってやってんだろうな、と想像しながら聴くと興味深いです。
もちろんそういう諦念まじりのファンキィ作品も嫌いじゃないです。

1曲目、プーレンさんのオリジナルからどうぞ。

Don Pullen - Big Alice

ボ・ディドリー的なビートと書きましたが、ラテンではクラーヴェと呼ばれるこのリズム・パターンは結構大事です。
アフリカ→カリブ→ニューオーリンズという地図を書くこともできますが、ある意味ブラック・ミュージックのルーツに深く関連するリズムです。

エレピ弾いてるプーレンさんは結構珍しい。
その他のメンツはこんな感じです。

続いて王道ファンク的な曲。これもプーレンさんのオリジナル。

Don Pullen - Poodie Pie


この曲からはトランペットがマーヴィン・ピーターソンさん。
個人的にはもうちょいバリバリ吹いて欲しかったかも。
人のアルバムに参加してる時だけおとなしいんだもんな。

プロデューサーはイルハンなんとか言うトルコ人のひと。
チャールズ・ミンガスの『Changes』とか筆頭に70年代のAtlanticで大量にジャズ系のプロデュースしてる人です。
前に紹介したこれもこの人のプロデュースだった。

Ted Curson - Spiderlegs (from Quicksand, 1977)

このテッド・カーソンの日本でしか出なかったアルバムも1,000円シリーズでCD化になりましたよ。

B面のアフロ・モーダルな長い曲。

Don Pullen - Kadji


いわゆるスピリチュアル・ジャズの範疇ですが、アフリカの悠久な大陸感がいい感じ。
ソプラノ吹いてるジョージ・アダムスはちょっと珍しいかも。
コルトレーンの音色に非常に似ている気がしました。

あとはアダムスさん作曲の2曲目のバラードなんかもジェントリーな感じで素敵でした。


では最後に余計だけどプーレン=アダムス・カルテットの「Song From The Old Country」を貼っておきます。
マウントフジ・ジャズ・フェスティヴァルの映像。
オレこの時会場にいた気がする。
知らない人はくっさい曲やなあ、と思うかもしれませんけど、当時はバカウケしてました。





トシがバレるね。
ではまた来週頑張りますよ。






2014年5月29日木曜日

2014/5/29のFunk 裏 Recommend

まいど。

昨日は満員電車の中で剥き卵みたいにつるっとした顔の若い女の子が上向いて口開けて爆睡してまったく目を覚ます気配もないのをかれこれ30分くらい前に立って眺めておりましたが、誰かの無防備すぎる寝顔ってなんであんなに見てて飽きないんでしょうね。

いきなり変質者なこと書いてしまいましたけど、心の中ではあのぽっかり開いた口は今オレが手に持ってるiPhoneがすっぽり収まりそうな良い置き場サイズだな、とかさらに変質者なことを考えておりました。
電車で爆睡してていきなり口にiPhone突っ込まれたらどんなリアクション、とか。



<今日のFunk 裏 Recommend>

「表」のサックス&ブラス・マガジン誌では次号からサックス・マガジンに大胆リニューアルします、ということが発表されましたが、サックス&ブラス・マガジンとしての最終号もぜひご覧くださいね。

あこがれのメイシオさんにインタビューする機会をいただき、巻頭記事にしてもらっています。
インタビューさせてもらったのはビルボード公演2日目の昼間。
メイシオさんだけ早めに楽屋に来てもらってのインタビューでした。

最初は「え、インタビューなんて聞いてたっけ?」くらいな感じの低いテンションで、あんまり機嫌も良くなかったんですが、いろいろ質問するうちにメイシオさん勝手に盛り上がってきたようで、こっちの質問も終わらないうちに勝手にベラベラしゃべりだすわ歌は歌うわ席離れて踊りだすわ、という感じでステージの外でもファンキィでサービス精神旺盛な人なんだってよく分かりました。

表紙の写真はそのときに撮影したものですけど、インタビュー時はグラサンかけてなかったのに、撮影前にスーツに着替えると同時にグラサン着用になってましたね。
あの眼がチャーミングだと思うんだけどな。

メイシオさん記事以外にも、メンフィス・ホーンズのバイオ記事とか名盤選とか書かせていただいております。
いつ見ても内容が過剰に豊富な雑誌です。
リニューアルの件は「ブラス」族の皆さまにはたいへん残念なニュースかも知れないですけど、臨時増刊ブラス号、とかも考えているそうですよ。


今日までこちらの「裏」で連載していたメイシオ物語も、このサクブラ31号に向けての盛り上げ企画だったのはお分かりいただけたかと思いますが、そのストーリーも今日で完結編です。
完結つってもまだ90年代前半までしか行ってないけどな。
まあその後は順風満帆なのはみんな知ってるからいいんだよ。

では今日のアルバムの1曲目から。

Maceo Parker - Them That Got

よくこんなのんびりした曲をアタマに持ってきたな、と今だと思いますけど、当時はメイシオさんの鋭いテーマ吹奏にグイッと心持ってかれたナンバーです。

それに続くテナー・ソロはピー・ウィー・エリスさん。
ホーンのバッキングでは盟友フレッド・ウェズリーさんも参加。
ギターはアメリカ人ながらヨーロッパで活動していたジャズ系のロドニー・ジョーンズさん、ドラムは白人アメリカンで二十歳そこそこの若造だったビル・スチュワートさん、そしてオルガンがかのドン・プーレンさんだったのは驚きでした。

60年代にフリー・ジャズからスタートして、チャールズ・ミンガス・コンボ、ジョージ・アダムスとの双頭バンド、そのかたわらソロのキャリアも着実に積んでたヴェテランがなぜここに、という感じでした。
80年代のアダムス=プーレン・バンドなんて大人気だったんですけど。
ああ懐かしの「Song From The Old Country」。

それに関係してかしないか3曲目はミンガスのナンバー。

Maceo Parker - Better Git Hit In Yo' Soul

メイシオさんはこの曲がワルツだってことを完全に無視して吹いてるような気がしますけど。
自伝にはこのアルバムの録音について、「慣れないコード・チェンジが多くてたいへんだった」とか書いてました。

「あくまでビバップは吹きません(吹けません)」と言いたげなこの曲の変なソロを聴けば納得な感じ。
コード・チェンジって言ってもだいたいブルースですけどね。

Maceo Parker - Jumpin' The Blues


ジャズはたいへんだったけど、この曲みたいにオリジナルも書かせてもらえたから良かった、と書いてるのが次の曲。
故郷キンストンで兄弟たちと路上ジャムしてたことをテーマにした曲だそうです。
ホンカー魂炸裂なこの曲のソロは最高ですね。

Maceo Parker - Up And Down East Street



ユニバーサル・ミュージックさんはこのへん全部1,000円で出し直すべきだと思いますよ。
少なくとも聖典『Planet Groove』だけでも。

Maceo Parker - Soul Power '92 (from Life On Planet Groove, 1992)


以上、ながらく連載にお付き合いいただきありがとうございました。
何度も言いますが、メイシオさん自伝の日本語版出してーって誰かがどこかの出版社に言ってくれて、出せるようになれば素晴らしいと思います。

来週から何やろうか。
また頑張ります。


2014年5月22日木曜日

2014/5/22のFunk 裏 Recommend

まいど。

国家レベルの大事な話から下世話すぎる話まで、いろんな話題に事欠かない今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

長期間に及ぶドラッグの常用のすえ、薬でラリッて錯乱してショットガンとピストル持って怒鳴り込み、その後警察とカーチェイスまで繰り広げたすえに逮捕されたジェームズ・ブラウンさんみたいなあっちの大物に比べれば、セイイエスの人なんてかわいいもんだと思いますがどうでしょうか。

88年に捕まったJB先生は91年に仮釈されて、翌92年にはグラミーの功労賞受賞したりしてますからアメリカってなんだかすごい。
セイイエスの人も10年後くらいには泣きながら紅白とか出てたりするのかも知れません。

セイイエスの人がダメ人間だったのは間違いないのですが、なんだかすごく真面目過ぎるがゆえにかつてのようなヒットが出せないこととか、思いどおりの音楽表現が出来ないことに悩んでいたのではないかと思われ、そういうところで孤独な苦しみがたくさんあったのかも知れないと想像すると、低空タックルしてでもセイイエスの人の暴挙を止められるような周りの人がいれば良かったのにな、と残念に思いますね。

僕も周りにそういう人がいたら捨て身のタックルかますべきだと思いましたし、もし自分がセイイエス的な暴走をし始めたときにはタックルしてくれるような家族や友人が欲しいものだと思いました。
頂点にいる人は常に孤独、って誰か言ってましたけど。

しかしいつもながらその後のCD出荷停止とか回収とかいう騒ぎは意味が分からない。
それでiTunesでバカ売れしているという話も意味が分からない。
何マーケティングだよそれ。



<今週のFunk 裏 Recommend>
メイシオ・パーカー・ストーリーも来週ようやく完結の予定。
そのためもあって今週はPファンク時代とか華麗にスルーしましたよ。
本人も語ってますが、メイシオのプレイ的にPファンク時代はそんなに大事だとは思いませんので。

では早速、メイシオさんの自伝にも載ってるキース・リチャーズさんのアルバム参加曲からどうぞ。

Keith Richards - Big Enough (from Talk Is Cheap, 1988)


ベースはブーツィー・コリンズさん。
シビレ節ですね。

ほか、この時期の客演でオモロいのは坂本教授のアルバムに参加してるのとか。

Ryuichi Sakamoto - Broadway Boogie Woogie (from Futurista, 1986)

なぜメイシオさんだったのか分かりませんが、たぶんお互いにあんまり意識せずにやってるのだと思われます。

ジェームズ・ブラウンさんのこの時期の作品はあまり多くないですけど、英国のヤクザレーベルCharly社が手を替え品を替え出し続けている『Live At Chastain Park』というアルバムはメイシオさんがバリバリ活躍していてオススメです。
YouTubeで全編タダで見られるので、興味ある方はそちらでどうぞ。
オレがはじめてJBやメイシオさんを聴いたのも確かこのアルバムだった気がする。

それで今日の一枚からの音源ですけど、YouTube探したけどこの1曲しか上がってないみたい。
オヤジ軍団のヘタウマ・ラップが微笑ましいファンク曲です。

The J.B. Horns - Step On Your Watch Part. II


ちなみにこのJ.B,ホーンズ盤と同じ1990年リリースだったのがメイシオさんのソロ・ミニ・アルバム。
落差がありすぎて頭クラクラするので気をつけてください。

Maceo - Sax Machine (from For All The King's Men, 1990)

ブーツィー、バーニー・ウォレル、ボビー・バード、フレッド、さらにはスライ・ストーンまで参加、という鬼みたいなアルバムなんですけど、当時もあんまり騒がれなかった気がします。
個人的にはプロデュースがビル・ラズウェルというのもダメな理由であります。


Pファンク以降のニューウェーブ、エレクトロな80年代はメイシオさんにとってもキツい時代だったけど、80年代も終わりに近づくにつれてヒップホップとかレア・グルーヴとかアシッド・ジャズも徐々に盛り上がってきて再び生音が求められる時代に戻りつつあった。

J.B.ホーンズなどが80年代末に動き出したのはそういう時代の声を反映したものだったと思われ。
今日のアルバムもドイツ制作なんですが、やはりアメリカよりもヨーロッパの方がそういうシーンには敏感ですね。
そんな流れのなか90年代に入ってメイシオさんの苦労もようやく実を結ぶわけですが、その辺の話は来週ということで。




中古が300円とか笑える。
ではまた来週頑張ります。





2014年5月15日木曜日

2014/5/15のFunk 裏 Recommend

まいど。

GWに実家に帰った折に、姪っ子(幼児)とともにYouTubeでアニメの「とっとこハム太郎」を見ていたのですが、なかに「まいど君」という大阪弁のキャラクターが存在することを知り、このBlogの挨拶文句やめようか。と帰りの新幹線で考えたことを今思い出しました。

けどもう少しこれで続けますね。


久しぶりの最近よく聴いてますCD紹介。
BADBADNOTGOODというバンドの『Ⅲ』というアルバム。
バッドバッドノットグッドと読むカナダはトロントの若者3人組。

いわゆるピアノ・トリオのフォーマットを模した編成ですが、当然ながら正統派なジャズではなく、何と言えばいいのでしょう、ヒップホップをはじめとするビート・ミュージックを聴いて育った子供たちがジャズという玩具を与えられて遊んでいる感じ。
センス良くて、パンク的で、茶目っ気たっぷりです。
楽器はあんまり上手じゃないけどな。


フリーダウンロードでリリースしていたⅠとⅡもずいぶん聴いたんですけど、ようやくちゃんとしたレーベルからデビューとなりました音源。
こういうバンドやりたい。
もしくはやりたかった、です。



ほかの音源などこちらで聴けます。



<今週のFunk 裏 Recommend>

もうメイシオ飽きたよ、という方も多いかも知れませんけど、あと2週ほどで終わる予定なので頑張ってついてきてくださいね。

今日は70年代前半の話。
JBバンドに戻ってきてからのことです。
まずは戻ってきて最初のレコーディングとなったJBズ名義のこの曲から。

The J.B.'s - Doing It To Death

改めて聴くとこの曲、異様すぎないですか?
ソウル・ミュージックの世界から生まれたとは信じがたい2拍3連使ったスウィングするシャッフル・ビート。
ポップ・ミュージックの常識を覆す、FからDにダウンするコード・チェンジ。
今日はJBの特異な才能についての話でしたけど、やはりこのおっさん天才ではないかと。

フレッドにソロを取らせたあと、キーが下がって、
JB「おい、そこにいるの誰やねん」
フレッド「メイシオっすよ大将」
JB「ああっ?誰やっちゅうねん?」
フレッド「あんたが良く知ってるメイシオが戻ってきたんですよ!」
JB「おお!メイシオ!兄弟!帰ってきたんやな、ブロウせんかい!」
みたいな茶番があってメイシオが登場するくだりが最高です。
裏事情知ってたら噴飯ものだよね。

そのあともおっさんはメイシオに絡んで、また吹かそうとするんだけどメイシオは肩すかしみたいにアルトじゃなくってフルート・ソロ取るというグダグダな茶番。
その間も延々と、淡々と続く2拍3連。
最終的にまたFにキーが戻ってフレッドのソロで終わり。
何これ?


ちなみにこの時期のメンバー変遷とかザ・JBズという呼び名に関してはちょっとややこしいので、日本語のWikiを参照してください。
すごく丁寧に説明してくれています。

ではアルバム『Us』の冒頭のナンバーをどうぞ。

Maceo - Soul Power '74

大学生のときに死ぬほど聴きました。
もうなんだか分からないくらいにファンキィ。
2曲目。

Maceo - Parrty

「ぱーりー」というコーラスが、「モーリー」に聴こえて仕方ないのは、大学生の頃に森という名の後輩がいたからです。
「モリ」って言ってるよな、と一度本人に聴かせたことがあるのですが、きょとんとした顔をされたのを覚えています。

ではこのアルバムには入っていないシングル・オンリーのこの曲。

Maceo And The Macks - Cross The Track

この曲はなんだかすごい。
曲としての粒立ちが異常。

このピー。ポー。というアホみたいなオクターブの奴がJBの仕業です。
でもこれが無かったらこの曲ただのファンク。

「Across The Track」というタイトルで、ゲットー地域の物騒な話をテーマにした曲で、JBはピー。ポー。でパトカーのサイレンの音を模したかったみたいですけど、それが見事にハマりました、という曲。



このアルバムは日本でしか売ってないと思われます。
外国で売ってない意味が分かりませんが。


ではまたがんばります。






2014年5月8日木曜日

2014/5/8のFunk 裏 Recommend

まいど。

GWは久々に大阪の街をうろついたりしておりましたが、あの千日前周辺の飲食店が密集してるところのGW真っ盛りの怒濤な感じというか人々が発散するエネルギーにすっかり圧倒されて、結局心斎橋のはずれにあった王将でチャーハンと餃子を喰って帰ってきました。

そういうわけでいまだGWボケから復帰できておらず、今日はかなり文字量少なめでお届けする予定です。


<今週のFunk 裏 Recommend>

メイシオが67年に除隊されて復帰してからのJBバンドというのは本当に奇跡的なバンドですね。
メンバー的にも強力だし、音楽監督だったピーウィーの貢献度もハンパない。
この時期がJB史上最高メンツと考える人は少なくないはず。
けどこの時期の話とかは自伝の方では結構あっさりしており、実質2ページくらいしか触れられておりません。

造反してJBバンド辞めてオール・ザ・キングズ・メン組んで、の話も意外とあっさり。
まああんまり詳しく書きたくないんだろうな。
JBの悪い話も書いてはありますが、思っているほど憎しみとか軽蔑の感情は無くて、「ああいうおっさんだから仕方ない」という諦めの念も感じますね。

キングズ・メンのセールス妨害工作の話も、はらわた煮えくり返るというよりも事実を淡々と書いてある感じ。
自省の念が働いているのか結果OK的に殺意も忘れているのか知りませんが。
弟のメルヴィンなんかはキングズ・メンの失敗を期に大学入り直して音楽教師の道に本格的に進んでその後ひとかどの成功収めたりしてるので、それはそれで良かったと考えているのかも。

では今日のアルバムから2曲目に入ってるこのナンバー。

Maceo & All The Kings Men - I Want To Sing

メイシオさんのじらしプレイ。
先日のライヴでもそうでしたけど、メイシオさん実は歌うの大好きです。
こんな感じ。

Maceo & All The Kings Men - Dreams


ファンクにしても前作とはだいぶ変わった感じ。ロック的?
やたらブラスのアレンジだけしっかりしてます。

Maceo & All The Kings Men - A Funky Tale To Tell


ところでオーガスタのギグをJBの親父さんが観にきていた話ですが、メイシオさんは自伝の中で「彼は本当にキングズ・メンが好きらしく・・・」と書いてありましたが、JB博士のオーサカ=モノレール中田氏によれば、実際はそれもJBが「様子見て来い」と遣わせたスパイに違いない、とのことでした。


以上、時間なくてすいませんが今日はこのへんで。
また来週頑張ります。














2014年5月1日木曜日

2014/5/1のFunk 裏 Recommend

まいど。
早くも5月ですよ。
やんなっちゃいますね。
こんなに早いと味わいがない。


今日は5月1日ということで、70年前の今日この世に生まれたマーヴァ・ホイットニーさんのこのナンバーからどうぞ。

Marva Whitney - It's My Thing

めちゃキュート。
うしろでメイシオさんやフレッド・ウェズリーさんも吹いてます。



<今週のFunk 裏 Recommend>
メイシオ物語第3夜でございました。
大事なところなのでいつもよりも長めのコラムになってしまいましたが、ご容赦ください。
これでも自伝の中のオモロい話ずいぶんカットして書いてますからね。

メイシオさんの歴代ガールフレンドの話とか、初体験の話とか、兄弟同士の冗談の話とか、人種差別の話とか、そういう話もたくさん載ってます。
だれか日本語版を出すべきだと思いますけど。

では今日の1曲、メイシオさんの初ソロを記録した「Papa's Got A Brand New Bag」です。
実に50年前の録音。
YouTubeを探したところ、いちおうフル・ヴァージョンでありましたけど、スピードアップ&リバーブ有りのやつしかありませんでしたのでこちらで我慢してください。

James Brown - Papa's Got A Brand New Bag (full version)

耳慣れた「Papa's Got...」と比べるとこの最初のヴァージョンはテンポもゆっくりだしおとなしいですよね。
この後すぐに高速化してライヴで必ず演奏される定番曲になります。
なんでも高速化すればファンクになる、というのは誰かが言ってた冗談ですけど、ある意味本質かも。

メイシオさんの初ソロは、まあ今の耳で聴けばおとなしめで“普通”かも知れませんね。
特にテナー・ソロの出だしなんかは手探り感がありありと分かります。

でも22歳の若きメイシオさんなりに、日々進化していたJBサウンドに対応させつつ、どういうソロを取ればもっとも貢献できるか、曲を炎上させることができるか、そして自分も目立てるか、みたいなことを一生懸命考えていた気がします。
それでJBファンクの進化とともに自分のスタイルも磨き上げていったのではと。

その第一歩だと考えると、ジャズ的に16分音符がつながってるような敷きつめる感じのソロはまったく考えてなくて、リズムを強調してクサビみたいに打ち込んでいくのに専念してるところとか興味深い。
後半のバリトン・ソロなんか特に。
歌手のフィーリングを意識して歌い手のようなソロを取る、というようなこともインタヴューで言ってました。

ちなみにメイシオさんの初ソロならぬ初録音はこの「Papa's Got... 」の約半年前に録られた「Out Of Sight」。
セクションでバリトン吹いてるのがメイシオさんです。

この録音ののち1965年の秋にはメイシオさん徴兵されてしまいます。
なんとかだまくらかして徴兵を逃れようとする話もまたオモロいのですが。
んで67年の秋にJBバンドに再加入します。

そこから1970年くらいまでの2年間くらいがJBバンド的なメンバー充実度、音楽的過激度からしてもっとも壮絶だった時期じゃないでしょうか。
メイシオさんが初めてフレッド・ウェズリーさんやピー・ウィー・エリスさんと出会うのも67年のことです。

下は1968年のボストン・ガーデンでのライヴ風景。
90分もある動画貼り付けると重くなるのかな。

James Brown - Live at Boston Garden, 1968

メイシオさんもフィーチャーされまくり、名前連呼されまくり。
時間が無い人は1:13:00くらいからの「Cold Sweat」でのソロだけでもいかがでしょうか。
フレーズが吹かなくともリズムだけで何とかなる、の見本みたいなパフォーマンスですね。

この時期のライヴ録音だと、『Say It Live And Loud - Live in Dallas 1968』というのがCDになっており、非常におススメできる内容です。
メイシオさんのはまり役MCもたっぷり堪能することができます。



『Star Time』って編集盤は1991年にリリースされた4枚組のCDベストで、80年くらいまでの録音が未発表含め入っておりますが、すごくしっかり作られた印象のコンピです。
iTunesでも買えるけど、解説が読みたい人は実物が欲しい人はCDを買った方が良いと思われます。
解説日本語訳がついた国内盤も出てましたので、頑張れば中古で入手可能なはず。



以上。
笑いが無いブログですいません。

最近デスクワークをしていて眠くなると自分で自分を平手打ちするセルフビンタで気合いを入れるのが癖になってるのですが、先日そこそこ混んでる電車で座って本読んでるときにウトウトしてしまって、思わずいつもみたいなイキオイでセルフビンタしたところ結構な視線を集めてしまい、思わぬセルフ羞恥プレイに発展してしまいました。

斜め前に立っていた奇麗な女性の冷たい視線を感じながら、パブリックとプライベートの境界がぼんやりしだした我が身を憂いたのでした。

また来週頑張ります。









2014年4月24日木曜日

2014/4/24のFunk 裏 Recommend

まいど。

Facebook見てるとボブ・ディランさんの来日公演に行ってきた人が感想書いてるのを良く目にしますけど、どうやら大御所にありがちな昔のヒット曲オンパレードなベスト盤的ライヴじゃなくって、最近の曲を中心にオンゴーイングな感じのステージをされてると聞いて、さすがライク・ア・ローリング・ストーンな師匠だな、と感じ入りました。

それで思い出しましたけど最近twitterに流れてきたこの動画が異常に感動的だったので貼っておきますね。



見てたら知らない間に目から汗が出てたよ。
なんだかリスペクトが感じられるのがいいですよね。
こういう「愛さずにはいられない馬鹿」を考えられるのも作れるのもまた才能だと思われ。




<今週のFunk 裏 Recommend>
先週からはじめました「メイシオ・パーカー・ストーリー」ですが、通常の3倍くらいの方に記事を見ていただいたようで、なんともありがたいと同時に、やっぱりメイシオさん人気はすごいなあと素直に感じた次第です。

今日は2回目。
自伝本から抜粋したいところ、書きたいこと、紹介したい音源、がバラバラなのですが、いかんせん文字数にも限りあるのでお許しください。

冒頭に抜粋したレイ・チャールズのコンサートに初めて行くシーンですが、当時は1959年かな。
たった半世紀ほど前の話ですけど、この頃はまだこういった人種差別的な行為がなされていたことは、特に平和な日本なんかに住んでいるとあんまり想像付かないですよね。

この自伝にも何度もそういったシーンが登場しますけど、メイシオ少年の住んでいたノースカロライナ州キンストンの町(東海岸側、だいぶ南の方)でも、居住区や学校が白人黒人分かれているのは当たり前で、映画館なんかも分かれており、新作映画の封切りはなぜか白人館の方が数週間早かったとか。


でもその後大学生になったメイシオさんが再び街にやってきたレイ・チャールズさんを観に行ったときには、もう人種隔離のロープは無かったそうです。

この2回目のレイ・チャールズのコンサート、思いあまったメイシオ青年は今でいう出待ちのようなことまでやっています。
ちょっと長いですが、その箇所を自伝から抜粋してみますね。

“19歳になった1963年の秋のこと。私はノースカロライナ州グリーンズボロの劇場の裏で立っていた。レイ・チャールズのコンサートのインターミッションのあいだ、自分のアイドルを一目見ようと待っていたんだ。
私は彼と彼のバンドによる驚くべき最初のセットを目撃したばかりで、きっと彼らは一息入れに裏に出てくると考えていた。彼らに会ってどうするかなんて全く頭に無かったけれど、とにかく彼らに近づきたくてたまらなかった。彼らやレイに会いたかった。
視界の隅にライターの炎をとらえたのはその時だ。誰かがタバコに火をつけたんだ。レイのバンドのアルト奏者、ハンク・クロフォードだってことはすぐに分かった。彼はレザーのジャケットとブーツを実にクールに着こなしていた。真夜中近かったが、彼はサングラスをはめたままだった。
私は暗がりの中に呆然と立ち尽くして、彼がタバコをゆっくりとくゆらせるのをただ見ていた。話しかけるべきかどうか迷いながら。何と話しかけるべきか見当もつかなかったが、とにかく私は「What'd I Say」を聴いて以来彼のサウンドとフレージングに首ったけだった。
やがて劇場のドアが開いて他のバンドメンバーたちも姿を現した。彼らは集まって話したり笑ったりしながら、時々出待ちをしている一般人と言葉を交わしたりもしていた。
レイ・チャールズその人が姿を現したのはそのときだ。私は歩いて話しかけられるくらいの距離にいたが、完全に緊張して硬直していた。何か話しかけたかったが、何を話そうが他の追っかけと同じようなくだらない話に聞こえてしまうのを恐れていた。この人物とその音楽に対する私の尊敬の念はそんなに薄っぺらいもんじゃない。私がハンク・クロフォードやデヴィッド・ニューマン、なによりレイ・チャールズと知り合う時には、同じミュージシャン仲間として、そして彼らが知っているミュージシャンとして知り合うべきだ。
その瞬間に決意したんだ。私はいつかきっと彼らにメイシオ・パーカーという名を知らしめると。One of these days you're all gonna know me。”

このいい話が自伝の序文代わりになっています。

ミスター・バンクスのことはかなり人生の師、のように考えているようで、色んなインタビューにも出てきますね。
ジェームズ・ブラウン・バンドを飛び出して作ったバンド、オール・ザ・キングズ・メンのファースト・アルバム『Doin' Their Own Thing』での追悼曲がこちら。

Maceo and All The King's Men - (I Remember) Mr. Banks

このアルバムのことは以前コラムに書きましたよ。

最近のアルバム『School's In』でもこんな美しい曲が。

Maceo Parker - Song For My Teacher

ジェームズ・バンクス先生はメイシオを教えたあと、ロイド・プライス楽団に入ったそうです。
ので60年代初頭のプライスさんのLP聴けばひょっとしたらソロくらい取ってるかもしれないけど、どんなサックスだったか聴いてみたいよね。


では今日の一枚の音源紹介。
やっぱタレンタインだね。

メイシオさんの過去の雑誌のインタヴュー読み直したら、耳コピみたいなことはほとんどやったことが無いけど、あえて言うならタレンタインだけはやった、的なことがちゃんと書いてありました。

タレンタインってあんな顔だし、元スターだし、最近はすっかり軽視されてるような気がしますけど、とんでもないスタイリスト・個性派ですからね。
ああいう人をホンカーと呼んで十把一絡げに考えるのはどうかと思う。
彼がCTIで『Sugar』を大ヒットさせたのがどれだけ意味のあることか。
サクブラ誌でも徹底的にタレンタイン特集やるべき。

メイシオみたいになりたいと考えてるサックスの人は、逆にタレンタインからやっても良いんじゃないでしょうか。
デヴィッド・ニューマンやクロフォードよりもこっちの方が近道だと思われ。

Stanley Turrentine - River's Invitation

テーマの2コーラス目くらいの大事なところで「ブリッ」とミス・トーンしてしまうのをいつも「ああ・・・」と思いながら聴いてしまうやつです。
タレンタインは最初期のハードバップ的なやつよりも、この時期くらいからのソウル・ジャズ風味の作品の方が持ち味が存分に出せてていいのです。
このアルバムはしかし面子もすげー豪華。

Stanley Turrentine - Mattie T.

このソロなんかで良く使ってる、わざと頭を呑んで裏から入るフレーズ、が非常にR&B的で、メイシオさんに受け継がれたのはこういうところなのでは、と。



どれか1枚と言われれば『Cherry』をおススメします。

以上、いっぱい書いたので疲れました。
来週はジェームズ・ブラウン・バンド入りする話をお届けする予定です。
また頑張ります。



2014年4月17日木曜日

2014/4/17のFunk 裏 Recommend

まいど。

話のマクラになにを書こうかとぼんやり考えてたら何もしない時間が30分くらい経ってました。
Blogって怖いですね。


先日のパット・マルティーノさん(ギター)の来日公演、いまだ生演奏を観たこと無いので今回こそは、と思って意気込んでいたのですが結局なんだかんだで行けずじまい。
代わりに買ってきたのが最近出た60年代のライヴ私家録音盤で、これがめっぽう良かったです。

Gene Ludwig & Pat Martino Trio

マルティーノさんの個人コレクションとして残してあったものらしいですけど、まだアメリカにはこんな録音テープがごろごろ眠っているんだろうと考えると逆にこっちは眠れなくなりますね。

オルガンのジーン・ラディッグ(ラドウィッグ?)さんとドラムのランディ・ジェリスピー(ゲリスピー?)さんとのオルガン・トリオ。
今のマルティーノさんバンドもそうですけど、この人は60年代のジャック・マクダフ師匠のバンドで享楽のルツボのような目くるめくオルガン・ソウル・ジャズを経験して以来、オルガンが手放せないカラダになったような気配がして、その辺が大好きです。

このアルバムからもエネルギーとアイディアと「ギター弾きたくてしょうがないねん感」が余りに余ってあふれ出す感じが最高です。
テンポの早い曲で前のめりになりすぎて暴走気味の早弾きでつんのめりそうになりながらも何とか辻褄を合わせてしまうところとか萌えますね。

このトリオでのメジャー録音としてはソニー・スティットさんのPrestige盤『Night Letter』でバックを任されているのがあります。

オルガンのジーン・ラディッグさんは1枚Mainstreamレーベル産のアルバムを持ってましたが、白人ながら堂々たるソウルフルなスタイルで、個人的に再評価でした。
このシングルとかも最高ですね。

Gene Ludwig Trio - The Vamp ('65)

ラディッグさんのその後を知らなかったので少しだけ調べてみたところ、つい最近まで元気に活動されたあと、2010年に亡くなられていました。
心の中でそっと手を合わせる春うらら、という感じです。






<今週のFunk 裏 Recommend>

今週から新シリーズでございます。
わけあってメイシオ・パーカーさんの自伝を読んでいたときに思いついた企画です。
5月末まで7回くらいにわけてお届けする予定。

サクブラ編集長いわく、ポピュラー系のサックス・プレイヤーはプロ・アマチュア問わず老若男女がこの人を好きなプレイヤーに挙げるそうです。
メイシオさんも人気者になったなあと感慨しきりなのですが、じゃあ街にメイシオ・フォロワーがあふれていてメイシオ的なフレーズが氾濫しているかと言えばそんなことない。

やっぱりメイシオのスタイルってワン・アンド・オンリーで、マネできないものなんじゃないかな、と。
個人的にも60年代に誕生したサックスのスタイリストではメイシオさんとサンボーンさんがオリジナリティという点でズバ抜けている、と常々感じておりました。
次点でグローヴァー・ワシントンJr.さんという感じ。

そういうわけで、全部英語だけどやたら読みやすい自伝をひも解いて、その強烈な個性の秘密に迫りたいと思うわけです。
必然的に初期メイシオさん関連の文献・音源が多くなって最近のはざっくりになりますけど、あの人もう60年代後半にはほとんどスタイル確立してますからね。


では今日のテキストから、レイ・チャールズの58年ニューポートをお聴きください。

Ray Charles - I Got A Woman

言わずと知れた大ヒット曲です。
途中のサックス・ソロがデヴィッド“ファットヘッド”ニューマンさん。
フレーズの最後でウニッとコブシ効かせる感じ、お分かりでしょうか。
病みつきになるとあのコブシ感がヨダレ出るほど愛しくなってきます。

続いて管楽器全員ソロを吹くこちら。

Ray Charles - Hot Rod


「なにこれ、ビバップじゃん」と思ったあなた、まさにそうです。
レイ・チャールズさんの音楽はビバップであり、ブルースであり、ゴスペルであり、R&Bであって、そういうのが違和感も説明も無く自然に渾然と混じりあっているところがグレートなところです。

それにあの父性そのものみたいな歌声ね。
悠々と流れるミシシッピの大河、みたいな陳腐な表現を思いつきます。

最初のトランペットに続くのがファットヘッドさんのテナー・ソロ。
どことなくカウント・ベイシー楽団にいたフランク・フォスターさんの影響を感じるのはオレだけでしょうか。
そしてフォスターさんが影響を受けたであろうソニー・スティットさんの姿も。
いや、もしかしたらフォスターさんを経由せずにスティットさんなのかも知れませんけど。

スティットさんはチャーリー・パーカーのイミテイターみたいに揶揄されることもあったそうですけど、なんの素晴らしいスタイリストだったと思いますね。
まあどれ聴いてもだいたいいっしょだけどな。

テナー・ソロのあと、トランペット・ソロに続いて出てくるのがハンク・クロフォードさんのバリトン・サックス・ソロ。
レイさんバンド以降はアルトに専念して、バリ作を吹くことも無かったクロフォードさんですが、ここで聴かれるようなバピッシュなアドリブも後年は聴かれなかったもの。
その後ああいうブルージーなスタイルを確立して、サンボーンさんとかメイシオさんに影響を与えた彼も偉大なスタイリストだと思います。

そのあとに出てくるアルト・サックスがレイ・チャールズさん。
まあ音程もフレーズもややぎこちないですけど、後半のうなりフレーズで魅せるところなんかさすがだなと思いますね。


あと話に出てきた「What'd I Say」はこちら。

Ray Charles - What'd I Say ('59)

ポピュラー音楽史的に重要な意味を持つ、革命的なヒット曲なんですけど、今聴いても斬新ですよね。

シンバルがビートを細分化した16ビートで刻んでるところとか、そのリズムのなかにラテンが潜んでいるところ、ロックンロール的なノリとかコール&レスポンス、そしてレイさんが弾くウーリッツアー・ピアノの音色。
いろんな謎が潜んでおります。



今週はここまで。
来週はJBバンド時代の話に進むつもりでしたけど、やっぱその前の修業時代の話をもう1週することにします。
いろいろ面白い話ありすぎるので。

ではまた来週頑張ります。