麺とソースに改良を加えたという最近のカップ焼きそばUFOの特筆すべきうまさについて事務所で話していたのですが、結果、実際の焼きそばとカップ焼きそばはまったく別の食べ物であり、その総合的なうまさやあの麺がボソボソする感じの食感、食べてる時の興奮度・幸福度、時折無性に食べたくなる度、横で他人が食ってるときのうらやましさ度、部屋にそのニオイが充満したときの堪えがたい誘惑度、で考えたときにしばしば実際の焼きそばさえ凌駕しているのではないか、という結論にいたった今日この頃ですがみなさまいかがお過ごしでしょうか。
少なくとも立ち食いソバとかマックのハンバーガーなんか食ってるくらいだったら焼きそばUFO食ってる方が断然しあわせだと思うのですが。
というわけで先日新発売になったとんこつ味のUFOを試そうか試すまいか、いつもコンビニで逡巡するオレがいるのでした。
UFO大好きだし豚骨ラーメンも大好物だけど、とんこつUFO食ってガッカリするのは嫌だよね。
<今週のFunk 裏 Recommend>
フルート・ファンクと来て先週のデヴィッド・ニューマンから今週のハービー・マンの流れが予測できていた、という人がもしいたら一杯奢りたいという気分です。
何を隠そう最初にジャズ・ファンク的な音楽に目覚めたのも学生の頃にハービー・マンの『Memphis Underground』のCDを買ったのがきっかけでしたので、マン氏の作品にはそれなりの思い入れがあります。
そのCDを買ったのは地元にタワーレコードがはじめてできたばかりの頃で、まだCDのプラケースがボール紙の縦長の箱に入っていた時代でした。
当時のタワーレコードはまだアメリカ盤のCDしか取り扱っていない時期で、アメリカから直輸入されてきたCDの箱がずらりと並ぶ店内は、商品にまとわりついた異国の匂いで充満しており、地方都市の貧乏学生だったオレにとっては店に入っただけでアタマがクラクラするみたいな、とてつもなくヒップでアメリカな場所だったのです。
バイトして稼いだ小銭を握りしめてはCDを物色しに行ってたわけですが、当時は今のようなキャプションとかは一切商品についていなかったし試聴サービスなんてものは皆無だったので、まさに当て物状態で、家に飛んで帰ってボール紙の箱を開けてCDラジカセのプレイボタンを押して、当たりだった場合の喜びたるや部屋で小躍りするくらいのレベルだったわけです。
当然死ぬほど繰り返し聴くし、アーティストにだって愛着湧くよね。
アメリカからやってきたボール紙の空箱は自宅に持ち帰ってもなお、実にアメリカ的な異国の匂いを放っており、生活そのものにまみれた小キタナい実家の部屋が、その異質な存在のせいでいつもとほんの少し違って見えるほどだったわけです(一時はそれらの空き箱までアホみたいに大事に保管していました)。
昔話はそんなところにして1曲目から行きましょう。
ソウル・ビート・母ちゃんです。
Herbie Mann - (Gimme Some Of That Good Old) Soul Beat Momma
こういうビート何ていうんだろ。
ファンクでないことは確かですが、ジャズ・ロックであるとしてもこんな乱暴なビートで吹いた人はあとにも先にもいないかも。
1972年のNYジャズ・フェスティヴァルの実況中継盤でありまして、フェスであるからそれなりの観客数なのは分かるんですけど、この盛り上がり方はなんかちょっと想像できないですね。
だって歌も踊りも無しなうえに薄毛のオッサンがフルート吹いてるだけだかんね。
もしかすると『Push Push』ってアルバムのマッチョなジャケなんか見ると、女性的にはそれなりにセクシャルな存在に見えたのかも知れないですけど。
これな。
どうみてもゲイ人ぽいですけどね。
この身体のクネり方といい。
ちなみにこのLP『Hold On, I'm Comin'』のオリジナル盤のジャケットは変形特殊ジャケになっておりまして、1枚目のジャケに窓が開いてて後ろの面のマン氏の写真が除き見れるようになってるんですけど、この窓枠みたいな細い線が切れていないジャケットはまず見かけません。
次行きます。
Herbie Mann - Hold On, I'm Comin' (Live)
もちろんサム&デイヴのヒット曲のカヴァーです。
マン氏は69年にわざわざメンフィスのスタジオまで行って南部的なR&Bフィーリングを取り入れた大ヒット作「Memphis Underground」を出す訳ですけど、ここからタイトル曲とともにヒットしたのがこのカヴァー。
その「Memphis Underground」もこのライヴ盤でやってるんですけど、YouTubeには見当たらなかったので有名なスタジオ盤からお聴きくださいませ。
Herbie Mann - Memphis Underground (from "Memphis Underground" 1969)
こちらにはロイ・エアーズさん、ラリー・コリエルさんも参加しております。
途中で狂ったようなギターが聞こえてくるのがソニー・シャーロックさん。
ジャズに8ビートを取り入れる、という試みはオルガン・ソウル・ジャズ界やイージーリスニング的なジャズ界からじわじわ取り入れ始められて、60年代後半にはそれほど珍しくなくなってきたわけですけど、69年にヤング・ホルト・アンリミテッドの「Soulful Strut」とかヒュー・マセケラの「Grazing in the Grass」とかがヒットしていよいよ本格的になりだして、それがのちのフュージョンとかインスト・ファンクの源流のひとつになったんだと思うのですが、同じ年に大ヒットしたこのアルバムもかなり重要な役割を果たしていたと思うのです。
ハービー・マンなめんなよというわけです。
個人的には60年代はじめの「Comin' Home Baby」のヒットから70年代初頭のジャズ・ファンク期にいたるマン氏の動きは、いささか先物買い的な商売っけは感じるにせよ、その新人発掘の才能も含めて、かなり興味深いし再注目すべきではないかと思うのですが、誰かオレにそういう記事書かせてくれないかな。
実はそれ以前にもボサノヴァやラテン音楽へのアプローチというのも先駆けてやっている人なので、マン氏の歩みを見るだけで50年代から70年代にかけてのジャズの裏歴史的な俯瞰ができると思いますね。
今日はノスタルジックな話とアカデミック(?)な話になってしまいましたが、マン氏の作品はレコードもCDもバカみたいに安くタタキ売られているので、ひそかに集めてマン汁を堪能してみるのもいいかと思います(下品ですいません)。
いちばん最後の奴は特に推薦盤でもないですけど、先週のデヴィッド・ニューマンとジャケの発想が同じだったので掲載してみました。
くじけそうな時に見ると元気が出るアホジャケですね。
では今日はこのへんで失礼します。
また来週頑張りますね。
もう1週マン氏の特集しちゃダメですか?
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