2012年6月22日金曜日

2012/6/21のFunk 裏 Recommend

まいど。

前号のサクブラ本誌でギル・エヴァンスの記事を色々と書かせてもらった際に持ってるCDなんかを聴きかえす機会があったんですけど、なかでもやっぱりこれエエなあたまらんわとかいいながら何度も何度も聴いたのが『Plays The Music Of Jimi Hendrix』に入ってる「Castles Made Of Sand」でした。

このアルバム、ギル・エヴァンス以外のメンバーが編曲してる曲が多いんですけど、「Castles Made Of Sand」はギルのアレンジで、その表情たるや風の中にある目に見えぬ錦糸を集めて布を織りました、という佇まいの構成美と繊細さ、脆さ、ノスタルジアであって、個人的には後期ギルのベスト・トラックではないかと感じているのです。
いちばん尖ってた時期のエリントンを彷彿させますね。


で、この極めて幻想的な曲の中で極めて人間的な肉声を響かせるテナー・サックス・ソロがあまりにも最高で、それがビリー・ハーパーという漢なのであります。
漢と書いてオトコと読むのであります。

肉体労働者のように無骨でたくましく、無頼で寡黙で、それでいて優しいという実に高倉健的なイメージを、そのサウンドから勝手に抱いてるのですが、背が高くて精悍なルックスもイメージにぴったりなのです。
基本的には70年代に大勢いたコルトレーン派のひとりなんですけど、まだ新人の頃からギル・エヴァンスが彼を気に入ってバンドに使っていたのは実に興味深い。

前書き長くなりましたけどなんでそんな話なのかというと、今週久しぶりのビリー・ハーパーの来日公演情報が流れてきたんでウレシくなってしまった訳で。
おまけにジョージ・ケイブルズ!セシル・マクビー!エディー・ヘンダーソン!ヴィクター・ルイス!という70年代ジャズ好きにはとってもたまらないバンドだった訳で。
それでつい言いふらしたくなってしまった訳です。

まあそう言わず聴いてみてください。

Gil Evans - Castles Made Of Sand/Foxy Lady


YouTubeクオリティーですけど、この曲の繊細さ奥深さはヘッドホンで聴いてもらわないと分からないのではと思います。

柔らかく微細にぶつかり合うハーモニーが恐ろしい奥行きと非現実感を作り出していて、触れればたちまちに壊れてしまいそうな脆さもしびれるような緊張を生んでいます。

ちなみにメドレーになってるこの曲の後半はFoxy Ladyのカヴァーで、アレンジはウォーレン・スミスです。
しかしこんな曲書くジミヘンも天才ですよね。

デビュー・アルバム『Capra Black』からもう1曲いかがですか。

Billy Harper - Soulfully, I Love You/Black Spiritual Of Love

僕の場合はもう曲名だけでも昇天って感じなんですけど。





では今週のFunk 裏 Recommendのおさらいコーナーです。

ジャズ・ファンク道、ソウル・ジャズ道では避けて通れない大物、ジャック・マクダフですが、Cadetに吹き込んだ6、7枚の中じゃあこれがベストじゃないでしょうか。
1曲目。

Jack McDuff - The Heatin' System

なんでか知りませんが、この音源YouTubeにアップしてくれた人が中日ドラゴンズの映像をバックに使われており、ドラゴンズ見ながらマクダフ聴くというなかなか不思議な体験ができますよ。
天才ちゃうか思いますよね。

続いて同じアルバムからビル・ウィザーズのカヴァー。
このあたりさすがに70年代のサウンドになってますね。

Jack McDuff - Ain't No Sunshine



本当はピー・ウィー・エリス作曲の「The Prophet」って曲貼付けたかったんですけど、YouTubeに上がってなかったので諦めました。
ええ諦めましたとも。

仕方ないので同じ72年になぜかジョニー・ハモンドもカヴァーしてる「The Prophet」でも貼り付けておきます。

Johnny Hammond - The Prophet

最強にファンキィですよね。
アレンジがピー・ウィーで、途中のテナー・ソロはメイシオ・パーカーです。
72年録音なんですけど、70年代以降にメイシオがテナー吹いてること、オルガン・コンボで演奏してること、結構珍しい客演かと。


マクダフのCadet音源はいっぱいあるんですけど紹介してるとキリないので、76年のCadet(Chess)最終作『Sophisticated Funk』からの1曲もどうでしょう。
何エロ画像貼り付けてるねんと思うかもしれませんが、これがジャケです。

Jack McDuff - Ju Ju


中古盤屋でホリホリしててこのジャケ出てくるとウワって思うんですが、期待して中身聴いてみると割とシャバシャバな感じで大したことないという、ジャケが全てのピークだったというパターンです。
まあこの時代はしょうがない。


あの、コラムの中でホッピーって書きましたけど、ホッピーって何やねんという方がおられるのはないかと思われ。
ホッピーというのは関東地方の大衆居酒屋とかにはだいたいある、そしてコンビニとかスーパーにも売ってるノン・アルコール飲料で、どうやって使うかというと、ビアジョッキなんかに安い焼酎をどばどば入れて氷をドカッと盛ったところに注ぎ込むと、アレ不思議ビールと酎ハイの間みたいな味になるというヤツです。
これが美味いわすぐ酔えるわで最高なのです。

気の利いた居酒屋にはホッピー・セットなるメニューがあって、ホッピーの瓶と氷の入ったジョッキと焼酎が出てきます。
ほんで焼酎の追加を頼む時は「ホッピーのナカおかわり」と言うのが通で、追加のホッピーを頼む時は「ソトください」とか言うのです。
たまに質の悪い居酒屋行くと最下層の粗悪な「ナカ」が出てきて、そういうときは悪酔いして最悪な二日酔いになります。
そういう焼酎を僕らは「メチル」と呼んでいました。

ホッピー未体験の方はAmazonで買えますので、ぜひチャレンジしてみてください。
なんだかファンキィな自分に生まれ変わったような気持ちになれますよ。
そしてドラゴンズ見ながらマクダフ聴くのです。



また頑張ります。

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