2012年6月10日日曜日

2012/6/7のFunk 裏 Recommend

まいど。

また更新が遅れましてすいません。
忙しくはないのですが、ただただダラけていました。
なんとか総選挙の影響では断じてありません。
気合いを入れ直して頑張ります。




早速今週の「出てますよ」のコーナー行かせてください。

レコード屋に行って<ソウルLP>の<S>のコーナをホリホリしているとたまに「元気してた?」みたいな感じで彼女の愛くるしいジャケット出てきてナゴム。という、なんというかソウル〜レア・グルーヴのレコード好きにとってのマスコット・ガール的な存在感の彼女がおりまして、それがスパンキー・ウィルソンという西海岸の女性シンガーなのです。

アレサとかロバータ・フラックみたいな大歌手の器じゃないし、アルバムだってポップ・ソウルという感じのカヴァーが多い感じで、どっちかといえば顔で売ってました系の彼女なのですが、レア・グルーヴというのはそういう非メインストリームなところに魅力を見いだすもんでありまして、Mother Recordsというところからリリースされた彼女の70年代初期のアルバム3枚は「なんとなく持っていたい」レコードだったのであります。

スパンキーという名前もおてんばっ娘的な響きでいいじゃないですか。


そんな3枚がこのたび日本だけで世界初CD化になったわけです。
これは1969年の2枚目『Doin' It』に入ってるヒット・シングル。

Spanky Wilson - You

カッコいい中にも、いっしょうけんめい歌います的な人柄の良さがにじみだすようで何とも応援したくなるファンクですよ。
パンチが効いてるホーンも最高。

3枚の中で1枚選ぶとしたらこの『Doin' It』でしょうか。
でも3枚とも愛すべきガールズ・ソウルの佳作なので、こういうの好きな人はぜひ。
集めたくなる紙ジャケ仕様のイイ仕事です。




関係ないですけど「ホリホリしてる」ってうのはレコード屋さんでアナログ・レコードを漁っている状態のことで、いいものを「掘る」ということです。
有名DJさまが最近良く使ってはるんですけど、カワイクていい言葉ですね。
せっかくなのでハナクソとかオカマには使わないでくださいね。


では今週のFunk 裏 Recommendの音源紹介です。

レア・グルーヴ的にはけっこうな有名盤のですが、たぶんそれ以外のファンの人は聴く機会はあまりないだろうな、というアルバムです。

でもコラム書くために久しぶりに聴いて、「ぬおおおお」とノケゾル瞬間が10回くらいあったこと、オレがクリエイターとか音楽家だったら絶対パクるというか参考にするというかサンプリングするだろうなと思ったこと、つまりそういう誰しも多かれ少なかれ持っているであろう創作欲求みたいなものが「ぬおおおお」と掻き立てられる作品であることは事実です。


1曲目はこんな感じ。

Dorothy Ashby - Myself When Young

エキゾティック、フォーキー、ファンキィ、とこっちのマインドを置き去りにして矢継ぎ早に遷移していく感じがまたニクいですね。

アルバムの中でも人気曲がこれ。

Dorothy Ashby - Wax  And Wane

なんでしょうこの美旋律、そして斬新なビート。
クリエイティブの権化みたいな曲だと思うんですけど。

イントロにカリンバが入ってますけど、EW&Fしかり、シカゴとカリンバの結びつきは深いですね。

Dorothy Ashby - Drink


この曲だって構造はじゅうぶんにサントラ的なんですけど、このメロと雄弁なヴォーカルの強度とアレンジが作り上げた世界感の完成度は異様です。

同じく凡庸なボサノヴァの形態を取りながら、非凡すぎる物語性を練り込んでしまった天才的な曲。

Dorothy Ashby - Heaven And Hell



この終末感とサウダージ感が骨身に沁みてくるような心がちぎれてしまいそうになるような世界はなんでしょう。
郷愁と忘却と幻想とが巨大な諦観と慈愛に包まれて葬られていくような。

ヴォーカルの最後のワンフレーズだけ、オフ・チャンネルに変える小ワザがオレにとってリチャード・エヴァンスが神である理由のひとつかもしれません。

アルバムのシメは再びファンキィに。

Dorothy Ashby - The Moving Finger


アレンジャー/プロデューサーとしてのリチャード・エヴァンスは、おそらくイージー・リスニング的なところから出発して、それが喜ばれるポイントを研究し尽くすと同時に芸術性をいかに共存させ続けるかを極めきった、というのが60年代末に達成したレヴェル。
で、さらにそこからカヴァーじゃないオリジナリティとか美旋律とかラテン的なエレメントとかを注入したとき、はからずも凡百のポップスを越えた芸術に仕上がってしまった、というような感じではないかと思います。


60年代に彼が組織し、プロデュース/アレンジを全て担当したザ・ソウルフル・ストリングスとかになるともう少しイージー・リスニング寄り。

The Soulful Strings - Comin' Home Baby



エヴァンスさんリーダー作も少しだけ出してますが、72年の『Dealing With Hard Times』はそんなイージー・リスニングと芸術がせめぎあうような何とも言えない味わいのナンバー揃いのインスト盤。



79年のアルバム『Richard Davis』はジャケットがたいへん残念なのですが、このナンバーはクラブ・シーンでも人気のブラジリアン・フュージョン。

Richard Evans - Capricorn Rising


このジャケットのことは「逆さ富士」と呼べばいいのでしょうか。




なんとか総選挙の話ですが、なんか色々と批判的な意見をTwitterとかで見かけますね。
でももしオレがいま20才前後とかで、バイトしてるだけのヒマな大学生とかだったとしたら果たしてあの狂騒にコミットしていたかって考えると、CD何枚か買って投票してワンルームの下宿で選挙のTV喰いいるように観ていた可能性がゼロとはいいがたいわけです。

投票したオシメン(ていうらしいよ)の順位があがって泣きながらスピーチしてるの観てTVの前でキタナい涙一緒に流してたかもしれない可能性が50%くらいはあるかなと思うわけです。
それで、もしそうだとしたら、それはそれでシアワセだろうな、と思うわけです。

あの娘の順位が上がったのに0.001%くらいはオレも貢献したのだという満足感を胸に、何ヶ月かはああ良かったなあなんて思いながら過ごせる、もしくは嫌な勉強もバイトも頑張れる、という効能があるならば、それはそれで良いんじゃないかと思うのです。

たとえその貢献が誰に気付かれることのない孤独なものであったとしても。


ひとりで何百枚もCD買ってしまう人が頭おかしいように言われますが、そんなの自分で稼いだカネ使って100倍の貢献度求めてるんだから放っといたれよと思うのです。
カネを出させて忠誠心をはかるみたいなのがダメというけれど、どんなジャンルにも追っかけみたいな人たちはいて、それこそアイドルから阪神タイガースまで、何の見返りもないことに勝手に年間何十万ものカネをつぎ込んで一緒に地方回ったりグッズ買ったりしている人たちがいるわけで、そういう人といったい何が違うの、と思うわけです。

その情熱をスポーツとか文化活動とか勉学とか仕事にまわせよと言われても、そういうところからハミだしちゃった人も多いわけで、こんなささくれ立った世界になかば勝手に生み落とされて、おまえらの世代に未来は無いとか年金は無いとか終身雇用の時代は終わったとか好き放題言われながらもヘラヘラ生きていくには社会にそれくらいのタワミがあっても良いんじゃないかと思うんですけどね。


ではまた来週頑張ります。


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