2014年4月17日木曜日

2014/4/17のFunk 裏 Recommend

まいど。

話のマクラになにを書こうかとぼんやり考えてたら何もしない時間が30分くらい経ってました。
Blogって怖いですね。


先日のパット・マルティーノさん(ギター)の来日公演、いまだ生演奏を観たこと無いので今回こそは、と思って意気込んでいたのですが結局なんだかんだで行けずじまい。
代わりに買ってきたのが最近出た60年代のライヴ私家録音盤で、これがめっぽう良かったです。

Gene Ludwig & Pat Martino Trio

マルティーノさんの個人コレクションとして残してあったものらしいですけど、まだアメリカにはこんな録音テープがごろごろ眠っているんだろうと考えると逆にこっちは眠れなくなりますね。

オルガンのジーン・ラディッグ(ラドウィッグ?)さんとドラムのランディ・ジェリスピー(ゲリスピー?)さんとのオルガン・トリオ。
今のマルティーノさんバンドもそうですけど、この人は60年代のジャック・マクダフ師匠のバンドで享楽のルツボのような目くるめくオルガン・ソウル・ジャズを経験して以来、オルガンが手放せないカラダになったような気配がして、その辺が大好きです。

このアルバムからもエネルギーとアイディアと「ギター弾きたくてしょうがないねん感」が余りに余ってあふれ出す感じが最高です。
テンポの早い曲で前のめりになりすぎて暴走気味の早弾きでつんのめりそうになりながらも何とか辻褄を合わせてしまうところとか萌えますね。

このトリオでのメジャー録音としてはソニー・スティットさんのPrestige盤『Night Letter』でバックを任されているのがあります。

オルガンのジーン・ラディッグさんは1枚Mainstreamレーベル産のアルバムを持ってましたが、白人ながら堂々たるソウルフルなスタイルで、個人的に再評価でした。
このシングルとかも最高ですね。

Gene Ludwig Trio - The Vamp ('65)

ラディッグさんのその後を知らなかったので少しだけ調べてみたところ、つい最近まで元気に活動されたあと、2010年に亡くなられていました。
心の中でそっと手を合わせる春うらら、という感じです。






今週のFunk 裏 Recommend

今週から新シリーズでございます。
わけあってメイシオ・パーカーさんの自伝を読んでいたときに思いついた企画です。
5月末まで7回くらいにわけてお届けする予定。

サクブラ編集長いわく、ポピュラー系のサックス・プレイヤーはプロ・アマチュア問わず老若男女がこの人を好きなプレイヤーに挙げるそうです。
メイシオさんも人気者になったなあと感慨しきりなのですが、じゃあ街にメイシオ・フォロワーがあふれていてメイシオ的なフレーズが氾濫しているかと言えばそんなことない。

やっぱりメイシオのスタイルってワン・アンド・オンリーで、マネできないものなんじゃないかな、と。
個人的にも60年代に誕生したサックスのスタイリストではメイシオさんとサンボーンさんがオリジナリティという点でズバ抜けている、と常々感じておりました。
次点でグローヴァー・ワシントンJr.さんという感じ。

そういうわけで、全部英語だけどやたら読みやすい自伝をひも解いて、その強烈な個性の秘密に迫りたいと思うわけです。
必然的に初期メイシオさん関連の文献・音源が多くなって最近のはざっくりになりますけど、あの人もう60年代後半にはほとんどスタイル確立してますからね。


では今日のテキストから、レイ・チャールズの58年ニューポートをお聴きください。

Ray Charles - I Got A Woman

言わずと知れた大ヒット曲です。
途中のサックス・ソロがデヴィッド“ファットヘッド”ニューマンさん。
フレーズの最後でウニッとコブシ効かせる感じ、お分かりでしょうか。
病みつきになるとあのコブシ感がヨダレ出るほど愛しくなってきます。

続いて管楽器全員ソロを吹くこちら。

Ray Charles - Hot Rod


「なにこれ、ビバップじゃん」と思ったあなた、まさにそうです。
レイ・チャールズさんの音楽はビバップであり、ブルースであり、ゴスペルであり、R&Bであって、そういうのが違和感も説明も無く自然に渾然と混じりあっているところがグレートなところです。

それにあの父性そのものみたいな歌声ね。
悠々と流れるミシシッピの大河、みたいな陳腐な表現を思いつきます。

最初のトランペットに続くのがファットヘッドさんのテナー・ソロ。
どことなくカウント・ベイシー楽団にいたフランク・フォスターさんの影響を感じるのはオレだけでしょうか。
そしてフォスターさんが影響を受けたであろうソニー・スティットさんの姿も。
いや、もしかしたらフォスターさんを経由せずにスティットさんなのかも知れませんけど。

スティットさんはチャーリー・パーカーのイミテイターみたいに揶揄されることもあったそうですけど、なんの素晴らしいスタイリストだったと思いますね。
まあどれ聴いてもだいたいいっしょだけどな。

テナー・ソロのあと、トランペット・ソロに続いて出てくるのがハンク・クロフォードさんのバリトン・サックス・ソロ。
レイさんバンド以降はアルトに専念して、バリ作を吹くことも無かったクロフォードさんですが、ここで聴かれるようなバピッシュなアドリブも後年は聴かれなかったもの。
その後ああいうブルージーなスタイルを確立して、サンボーンさんとかメイシオさんに影響を与えた彼も偉大なスタイリストだと思います。

そのあとに出てくるアルト・サックスがレイ・チャールズさん。
まあ音程もフレーズもややぎこちないですけど、後半のうなりフレーズで魅せるところなんかさすがだなと思いますね。


あと話に出てきた「What'd I Say」はこちら。

Ray Charles - What'd I Say ('59)

ポピュラー音楽史的に重要な意味を持つ、革命的なヒット曲なんですけど、今聴いても斬新ですよね。

シンバルがビートを細分化した16ビートで刻んでるところとか、そのリズムのなかにラテンが潜んでいるところ、ロックンロール的なノリとかコール&レスポンス、そしてレイさんが弾くウーリッツアー・ピアノの音色。
いろんな謎が潜んでおります。



今週はここまで。
来週はJBバンド時代の話に進むつもりでしたけど、やっぱその前の修業時代の話をもう1週することにします。
いろいろ面白い話ありすぎるので。

ではまた来週頑張ります。




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